<ソフトバンク6-9ロッテ>◇28日◇福岡ヤフードーム

 ロッテ大松尚逸外野手(28)がメモリアルアーチで、チームを首位タイに押し上げた。押し出しと犠飛で2点を奪った後の1回2死一、三塁。制球に苦しむソフトバンク杉内の、ストライクを欲しがる心理状況が分かっていた。フルカウントからの7球目。「ストライクゾーンに甘めの球が来るって確信していました。思い切りバットを振りました」。フラフラの杉内に、強烈なダメージを与える3ランになった。

 相手は天敵だった。チームは08年4月25日にヤフードームで、横浜に移籍した清水直が完封で投げ勝って以来、杉内に2年以上勝てていなかった。その間、6連敗。大松も「乗ってくると手が付けられなくなるので、その前にたたけて良かった」と振り返った。

 これが球団通算7000号の記念弾だった。4000号を打っている西村監督も、誰が打つのかを気にかけていた1本は、バットケースを受け継いだ大松が放った。「今季1号も僕ですし、こうやって節目の本塁打も打てた。監督とは強い縁を感じます。これからも、監督を胴上げするために頑張りたい」と、あらためて喜びに浸った。

 本来ならクリーンアップを打つ打者だが、今は7番を打つ。調子が上がらない中、監督からのひと言が心に染みた。「この打順なんだから、楽な気持ちでいけ」。そう言われて、もう1度、基本から見つめ直したことが形になった。「今、緊張感がある中でプレーできるのは幸せ。自分を磨いたりもできるんで、楽しみながらやりたい」。その先にある栄光を信じる大松が、まずは球団史に名前を残した。【竹内智信】

 [2010年8月29日8時58分

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