<阪神4-2巨人>◇20日◇甲子園

 阪神が21日にも優勝マジック10を点灯させる。3位巨人との決戦は、先発したルーキー秋山拓巳投手(19)が6回7安打2失点と粘り、自身4連勝。林威助外野手(31)の逆転2ラン、城島健司捕手(34)の26号もあり、3連戦を2勝1敗と勝ち越した。21日から1・5ゲーム差の首位中日との3連戦を迎える。

 負けられない一戦で、マウンドに上がったのは、19歳の秋山だった。最大の正念場は5回2死一、二塁。82球目は阿部の胸元へいった。142キロと、阿部のバットの一騎打ち。左翼方向に打球が打ち上がる。1発なら逆転…。だが、力負けしなかった。打球はライン際で左翼マートンのグラブに収まった。

 「逆球だったし、打ち損ねだったので複雑でした」。逆転してもらった直後に2死から小笠原、ラミレスに連打を浴びピンチを招いていた。「ラミレスのヒットで代わると思っていたので、投げさせてもらえて、抑えられて良かった」。

 土壇場で踏みとどまり、6回7安打2失点。3者凡退に抑えたのは6回のみ。粘り勝ちだった。敗戦を喫した初登板のリベンジを果たした。初勝利から4連勝は、すべてチームの黒星直後の勝利だ。それでも、自身への厳しさを見せた。「今日の内容じゃ、何も言えないですね」。高卒新人という甘えはみじんもない。真弓監督は「今日のピッチングが一番悪かったのに、よく粘って、2点で抑えてくれた」と目を細めた。

 秋山を援護したのは、林だった。1点を追う4回2死一塁。チェンジアップを完ぺきにとらえ、弾丸ライナーを右翼席最前列に突き刺した。値千金の逆転2ラン。一気に形勢を逆転した。「つないだらチャンスが広がるし、上からたたこうという気持ちだった」。8月18日横浜戦以来、33日ぶりの4号2ランだ。

 前夜は金本と食事を共にした。尊敬する大先輩は右肩痛の影響もあり、今は先発を外れる毎日。その悔しさを思えば、後輩が下手なプレーをできるはずがない。パワーをもらった翌日、どうしても打ちたかった。

 生き残りをかけた巨人戦を2勝1敗で勝ち越した。「とにかくこの6連戦はカードを勝ち越したいし、連勝したい。勝ち越して、次のナゴヤドームに行けるのはいい」と真弓監督。次の舞台は今季1勝8敗のナゴヤドーム。大一番がいよいよやってきた。

 [2010年9月21日14時37分

 紙面から]ソーシャルブックマーク