日本シリーズが30日、ナゴヤドームで開幕する。ロッテ西村徳文監督(50)が挑戦者として虎視眈々(たんたん)と日本一を狙う。29日、監督会議後の会見で、元チームメートの先輩に対する思いを問われると「ロッテで一緒にやらせていただいて、監督としても実績を残されている方。胸を借りるつもりでやりたいです」と話し、表情も晴れやかだった。

 終始、謙虚な姿勢を崩さなかった。「監督として1年目で日本シリーズに出場できるのは最高の気分です」と胸を躍らせた。それでも監督会議では静観した。NPBの取り決めに対して「はい、いいです」と発言はこの一言。終了後は帰りのエレベーターで落合監督から「乗らないの?」と問われ、足早に乗り込む一幕もあった。3位から初めての日本シリーズ進出を勝ち得たが、挑戦者精神は忘れていなかった。

 28日のドラフト会議でも、会場となったホテルのエレベーターで落合監督と遭遇。「こんなところでもロッテと一緒になるなんて、縁があるねぇ」と声を掛けられたが、苦笑いのまま多くは語らず。一貫した姿勢は、言葉では言い表せない先輩に対する思いがあったからだ。中日との対戦が決まった翌日にも「大先輩ですから。いろんな思いがあります。実績を残されているし、偉大な方。ここでどうこう言うのは失礼ですよ」と、敬意を表するからこそ無言を貫いた。

 ナゴヤドームで2時間の練習を終えて引き揚げた際には、シリーズの先発ローテはどのあたりまで決まってるかを問われると「来年の~」と話すなど、監督を含めた対戦相手以外の話では冗談を交える余裕もあった。10日間の長い調整期間だったが「早く試合をやりたい。みんなそういう気持ちです」と臨戦態勢だ。5年ぶりの日本一へ、新人監督の今季最終章がいよいよ始まる。【斎藤庸裕】

 [2010年10月30日9時11分

 紙面から]ソーシャルブックマーク