エースナンバーは実力で奪う。巨人からドラフト1位指名された中大・沢村拓一投手(4年=佐野日大)が30日、八王子市内の中大野球部寮で、巨人清武球団代表、山下スカウト部長ら3人から指名あいさつを受けた。同代表から「沢村栄治さんを1つ超えるという意味で背番号『15』を背負ってほしい」と伝えられた。伝説の速球投手、沢村栄治が背負った永久欠番の「14」に「1」を加えた「15」で、第1歩をスタートさせる。

 原辰徳監督(52)の思いも詰まった特別な“プレゼント”だった。ドラフト1位指名のあいさつの席上、中大・沢村に告げられたのは背番号「15」だった。「すごく光栄に思います。素晴らしい番号をもらってスタートできます」。球団関係者からさまざまな思いを込められた野球人生で初めて背負う番号に、身が引き締まった。

 伝説の速球投手、沢村栄治以来、67年ぶりに巨人の沢村が誕生する。栄光ある未来を築くべく、球団が用意したのは背番号「15」。原監督と相談のもと、「沢村栄治さんを1つ超えるという意味で背番号『15』を背負ってもらおう」(清武球団代表)と決まった。この日の席上でも伝えられたが、原監督が「巨人のエースとして、伝説に残る選手になってくれ」と期待を寄せる即戦力右腕への期待の表れだった。沢村は「(沢村栄治は)ものすごく素晴らしい投手。自分が何をすべきか考えてやっていきたい」と口元を締めた。

 ドラフト指名を受けた直後の会見では背番号「18」への思いも語ったが、清武球団代表は「『18』を付けていた藤田さん、堀内さん、みんな力で勝ち取った。競争してとってもらいたいですね」と実力主義を宣言した。沢村自身も即エースナンバーを背負うことは考えておらず「競争を勝ち抜いていきたい」と覚悟を示した。堀内、藤田は1年目から活躍し、2年目でエースナンバーを奪取。大先輩が歩んできたエース道をたどることが期待される。

 報道陣から渡されたボールには「開幕一軍」と記した。「これからが勝負。やらなくちゃいけない」と力を込めた。29日に東都大学秋季リーグ戦が終了したが、31日から再始動。「1年間戦う体力はないと思う。しっかり練習して身に付けていきたい」とハードトレを敢行する。同代表から「ちょんまげをつけたら、りりしい侍のような感じ」と称された即戦力右腕が、「15」の“よろい”を身に付け、新たな歴史を切り開く。【久保賢吾】

 [2010年10月31日9時4分

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