<日本シリーズ:ロッテ3-4中日>◇第4戦◇3日◇千葉マリン

 ロッテは2度のサヨナラ機にあと1本が出なかった。3回、西岡剛内野手(26)の左翼線二塁打と井口資仁内野手(35)で3点を先制したが、4回以降は無得点。9回1死二塁で、西岡は空振り三振。10回1死満塁では、福浦和也内野手(34)が三直の併殺に倒れた。8~10回は毎回得点圏に走者を進めるなど押し気味だったが、好機を生かせず、日本シリーズ制覇へ王手をかけられなかった。

 紙一重の差だった。9回2死二塁の場面で左打席には西岡。中日浅尾の2球目の外角直球をとらえた。逆方向への力強い打球は、サヨナラ本塁打かと思われたが、わずかに左翼ポールの左側にそれファウル。一塁ベース手前でガッツポーズした西岡はがっくり。結局、空振り三振に倒れ、バットを地面に思い切りたたきつけて悔しがった。本塁打ならサヨナラで一気に王手だった。それでも試合後には「野球のルールなので、それが結果です」と潔かった。

 10回には1死満塁から福浦の打球は三塁手の正面を突いて併殺となった。サヨナラのチャンスを2度逸し、流れを失った。看板の打線があと1歩のところで攻めきれなかったが、西村監督は「そういうこともありますよ。まだ2勝2敗のタイですから」と、穏やかな表情も見せた。ミスが続いたと指摘されると「誰がいけなかったとかそういうことを言うつもりは一切ありません」と語気を強めた。

 西村監督は勝ちにこだわって早めに動いた。4回、先発の唐川が連打を浴びて1失点。ブランコの右飛で1死三塁となると、「久しぶりだったし、直球が高めに浮き始めていたので代えるしかなかった」と、唐川をスパッとあきらめ、左腕古谷にスイッチした。勝ち上がってきたCSから日本シリーズまで我慢強く「静」の姿勢を貫いていたが、この日は序盤で「動」に変わり、勝負をかけた。4回にも、無死一塁からDH今岡の代打で左の根元を起用。中盤にもかかわらず、代打に犠打を命じてチャンスメーク。「シーズンとは違うことをしないといけない時もある」と話したように、1点をもぎとる姿勢を前面に出し、勝ちにいった。

 この負けで本拠地での胴上げはなくなった。それでも、今日、勝てば王手をかけられる。第6戦の先発には、ポストシーズン3連勝のエース成瀬が控え、有利な状況に立てる。西村監督は「とにかく明日切り替えてやるだけです」と、2度繰り返した。全員で前を向いて目の前の一戦を勝ちにいく。【斎藤庸裕】

 [2010年11月4日9時1分

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