ダンディーが鬼になる!

 巨人川口和久投手総合コーチ(51)が9日、宮崎秋季キャンプに合流した。初日から精力的に動き回り、レビ・ロメロ投手(26)、西村健太朗投手(25)ら選手1人1人に声をかけた。「直さなければならないポイントはそれぞれ違うから」。フォームの課題や、変化球を投げる際の体の使い方など、細部にわたってアドバイスを送った。

 中でも左腕辻内崇伸投手(22)に熱い視線を注いだ。150キロを超える剛速球で甲子園をわかせた左腕も、故障などもあって5年間で1軍登板はゼロ。同じ左投手として、早速弱点を見抜いた。指にかかった時のストレートの威力はチームでもトップクラス。それを実戦で発揮できない原因は「いいものは持っているのに実戦で生かせないのは、精神的なもの」と指摘した。

 辻内をはじめ潜在能力の高い若手は多いが、心の強さを身につけなければ1軍では通用しない。「このキャンプではアメリカンノックでガンガンしんどい思いをさせる。足をやっちゃう(故障する)ぐらい、限界まで自分を追い込む練習をしてもらおうと思う」。投球練習後は、自らがノックバットを持って投手陣にノックの雨を降らせ、足がパンパンになるまで右へ左へと走らせた。

 評論家時代はルックスの良さと物腰の柔らかい語り口で「ダンディー解説者」と呼ばれたが、リーグ4連覇と2年連続日本一を逃す要因になった投手陣の再建のため、心を鬼にして鍛え直す覚悟でいる。原監督も「彼のキャリアというものをしっかり生かしてもらえれば」と期待していた。【広瀬雷太】

 [2010年11月10日8時37分

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