逆転狙いの勝負手は不発に終わった。オリックスは22日、西武からFA宣言した細川亨捕手(30)と都内のオリックス本社で交渉。当初予定のホテルから徒歩で移動し、国内1114、海外26カ国270の拠点を持つグループの「本丸」で口説きにかかった。提示した3年総額4億5000万円は、1年平均なら4年総額5億円超のソフトバンクを上回る破格値だった。

 「他球団に負けない提示をしたと思う。ご家族も含めて安心して暮らせる環境づくりもしますと、熱い気持ちで伝えました」

 村山良雄球団本部長(64)は席上、グループのオリックス不動産の全面協力で高級物件も“白紙手形”で用意すると約束。「チームの柱になってやってもらいたい」。長村裕之編成部長(51)とともに30分かけて熱意を伝えた。

 ソフトバンク入りを決意していた細川はオリックス側との面会も固辞するつもりだった。村山本部長の猛烈なラブコールが実り、11月22日の「いい夫婦の日」に交渉までこぎ着けた。ただ、不戦敗こそ免れたが、正妻として迎え入れることはできなかった。今日23日に断りの連絡が入る見通しだ。「細川君との交渉に全力を注いでおり、今後のことは考えていない」。村山本部長は今後の捕手補強は白紙を強調したが、路線をFAからトレードに切り替えることになりそうだ。

 [2010年11月23日11時18分

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