阪神藤川球児投手(30)が10日、来季はお立ち台から病と闘う子どもたちにエールを送る考えを明かした。大阪・和泉市の府立母子保健総合医療センターを訪れ、クリスマス会に参加。「ヒーローインタビューで言ってほしいことがあれば手紙に書いて」と、テレビ画面を通じて励ましのメッセージを送ることを約束した。子供たちを勇気づけることも発奮材料に、何度でもお立ち台に立つ。

 藤川はクリスマス会の最後で、病と闘う子どもたちに約束した。

 藤川

 ヒーローインタビューで言ってほしいことがあれば、手紙に書いてタイガースに送って下さい。実現できることはやります。

 考え抜いた一足早いクリスマスプレゼント。それはお立ち台から贈る激励メッセージだった。

 「○○くん、負けるな!」「○○ちゃん、頑張れ!」

 勝利に沸く甲子園から、テレビ画面やラジオのマイクを通じて一言添える。個別メッセージは球界でも異例の試み。子どもたちの目はキラキラと輝いた。

 藤川

 今日も1階の会場にも来られず病棟で苦しんでいる子どもたちもいる。やってることは小さい。でも何か貢献したい。1人でも多くの命が救われるなら。

 福祉に強い関心を抱いたのは06年。血液腫瘍を発症し、骨髄移植が必要だった同郷の高知・土佐高のエースだった戸田浩司さん(当時19)を知ってからだった。自身も07年に骨髄バンクにドナー登録。骨髄移植に関するイベントには毎年参加し、交流を深めてきた。だが移植を受けられず、亡くなっていく子どもたちもたくさんいた。

 藤川

 「空に旅立ちました…」とか、つらい手紙ももらいます。そういう時は無力感を感じる。でも実際に約束して、できたこともある。可能性があるなら(夢を)かなえたいんです。

 今年7月9日の横浜戦(甲子園)前、同じ母子医療センターから応援にきた子どもに「最後は三振を取る!」と約束。スレッジに空を切らせた。白血病を克服し、始球式で再会した子どももいる。自身も3児の父。あの日の感激は忘れられない。球場に足を運べない子どもたちにも、何かできないか思案した。それがお立ち台メッセージだった。

 藤川

 いっぱい立たないといけない。やらなきゃいけない。もっともっと、頑張らなあかんと思います。

 結果を残さずして、スポットライトは浴びられない。今季は05年のセットアッパー&抑え定着後、初の防御率2点台に終わった。だが13年目の来季は、自己最高成績を残してリベンジする。目標防御率は08年にマークした0・67以下。強い口調で言い切った。

 藤川

 やればできると思う。あとはどれだけやるか。チャレンジしたい。

 子どもたちが喜ぶ姿を夢見て冬場の鍛錬に励む。そして必ず、球児も輝きを取り戻す。

 [2010年12月11日11時6分

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