阪神能見篤史投手(31)が21日、越年覚悟で2度目の契約更改交渉に臨む姿勢を示した。大阪・富田林市内の身体障害者施設を訪問。3日の第1回交渉では、500万増の5500万円の提示を、プロ入り初の保留。その後は年内決着を強調していたが、ここにきて方針変更し、年内に予定される次回交渉に強硬姿勢で臨む覚悟を見せた。試合中の右足甲骨折の扱いや、9月の復帰以降の活躍を巡り、評価の見直しを訴える。

 ユニホーム姿の能見は、施設で行われた交流会で患者から来季の目標を問われ「まだ、契約していませんからね」と話した。苦笑いの中で、ある決意を秘めていた。

 「(年内に決着)できたらいいですけど、予定は決まっていないです。越年?

 可能性はあります。しっかり、来季に向けて、気持ちを切り替えないといけないですけど」。3日の第1回交渉では、500万増の5500万円の提示を保留。5月2日巨人戦の走塁中に負傷した、右足楔状(けつじょう)骨剥離骨折の扱いを巡って、1時間15分話し合った。交渉後には、年内決着を宣言していたが、いつしか越年も辞さずの強い決意が生まれていた。

 骨折で4カ月離脱したが、1軍復帰戦となった9月9日中日戦(甲子園)で、今季最多の128球を投げると、それ以降は、これ以上ないほどの働きで貢献した。以降の1カ月で登板数は「7」に達し、そのうち2度は中継ぎでマウンドに立った。その期間の成績は5勝0敗、防御率1・80。優勝争い真っただ中の貢献度は、揺るぎない。

 「球団と深い溝はないですけど、後半やったことは評価していただかないと。1年間ローテを守るのは、大変なのは分かるけど、チームのために働いたというのはある」。

 上位キラーとして、8勝のうち、中日、巨人から5つの勝ち星をもぎ取った。球団が一貫して認めない公傷制度に関して、どこで着地点を見つけられるかも次回交渉の焦点。言いたいことは言うつもりだ。

 「難しいですよね。1勝の勝ちの中に、いろいろな意味がありますから。公傷はあった方がいいですけど…」

 ポーカーフェースの左腕は、納得のいくまで球団側と話し合いを続ける。

 [2010年12月22日11時59分

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