オリックスを戦力外になった大村直之外野手(34)が29日、1年間の浪人覚悟で現役続行を宣言した。10月2日の戦力外通告後も西宮市内で自主トレを継続している。

 「体はいつでも行ける準備はしている。(力を)証明する場所がほしい。タフィみたいなこともあるし、今は待つしかない」。

 巨人退団後、1年間のブランクを経て07年オリックス入りしたタフィ・ローズを例に長期戦でオファーを待つと明かした。06年に最多安打。現役6位1865安打のヒットマンがプロ17年目は初の無安打に終わった。代打で2打席。開幕から5試合で2軍落ち。ウエスタン・リーグでどれだけ打っても昇格できなかった。

 「どんな理由であれ、試合に出られなかったのは自分のせい」。オリックスで不要とされた現実に恨みつらみはない。あるのはプレーヤーとしての自信。そしてほしいのはプレーする環境だけだ。

 「声をかけてもらったらいく。年俸はいくらでもいい。ゼロでもええもん。(ポジション争いで)だれにも負けないし、勝つ自信がある。2000本安打も今は何とも思わんねえ」。

 浪人と無給まで覚悟してひたすら待つ。けがやハプニングといった緊急事態で突如、呼ばれる可能性もあると前向きだ。

 「うまくピースが空いて入れることもあるかもしれんけど、こればかりはタイミング」。

 打席で追い込まれても粘りに粘って安打にしてきた名手がもう1度輝きを放つため、耐えに耐える。

 [2010年12月30日11時58分

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