8回は譲らん!

 阪神久保田智之投手(29)が18日、沖縄・宜野座村の宜野座ドームで自主トレを公開した。球団は勝利の方程式の一員として小林宏投手(32=ロッテからFA)の獲得に動いている。真弓監督は8回での起用を想定。だが、球児へのつなぎ役を務めてきた右腕も黙って定位置を譲る気はない。

 「入っても頑張るのは変わらない。来たら、来たでうまくやっていけばいい。8回?

 目指しますけど、首脳陣が決めることなので」。

 淡々と語る口ぶりに、決意がにじんでいた。06年WBCで世界一を分かち合ったチームメート。実力を認めているからこそ、刺激も大きい。

 スタイルを変えるつもりはない。30代を迎えても、150キロを越える直球を投げ込んでいく。そのために必要なのが瞬発力。09年オフから個人契約を結ぶ、伊藤雅浩トレーナー(37)と対策を練る。今回の自主トレでは筋肉の収縮速度を速め爆発的な瞬発力を高める、プライオメトリックトレーニングを継続。台から飛び降り、着地した瞬間にジャンプするなど、自身の体重負荷を使った12種類のジャンプを各6回ずつ実施。これを週2回行い、お尻から太ももを強化している。

 昨年は1月中に捕手を座らせて投げていた。だが今年はシーズンを通してパフォーマンスを維持するため体力づくりに重点を置く。

 「最低でも1軍に残ること。毎年そういう思いでやっている。1年間貢献できないと意味がない」。

 昨季は、右肩痛を克服しチーム最多の71試合に登板。鉄腕復活を印象づけた。ただ、序盤は5月20日に、1軍登録を抹消された。何もできなかった29日間の空白が、久保田の体にムチを入れる。

 「今年は大丈夫だと思います」。05年から築き上げた、現在の地位。鉄腕は自分の居場所を守り抜く。

 [2011年1月19日11時49分

 紙面から]ソーシャルブックマーク