<西武13-4中日>◇21日◇西武ドーム

 大逆転劇の余韻も吹き飛ぶ大敗だった。今季初登板の中日山井大介投手(33)が3回5失点でKO。中継ぎ陣もことごとく打ち込まれて今季ワーストの15安打13失点を喫した。交流戦開幕からの連勝も「3」でストップ。9回に5点差をひっくり返した勢いは一夜にしてしぼんでしまった。今日22日から名古屋に戻って、もう1度出直しだ。

 前夜とはまるで違う光景だった。西武ドームの名物とも言える長い階段。試合終了後の中日ナインの足取りはいつも以上に重かった。それもそのはず。ベテランの活躍で手にした劇的な勝利から一夜明け、待っていたのは13失点という屈辱的な大敗だった。落合監督は、報道陣の質問に先んじてこう忠告した。

 「個人的なことは聞くな。誰がどうこうじゃない。年に何回かはこういう試合がある。それがたまたまこういう形で出た」

 歯車が狂いだしたのは1点リードの3回だ。今季初登板の先発山井が先頭打者をストレートの四球で歩かせると、9番斉藤に適時打を許して同点。さらに2連続四球で満塁。トドメは3番中島に外角直球をとらえられ満塁弾を右翼席へ運ばれた。

 「先頭打者の四球ですかね…。あまりにも外れてしまった。無駄な四球が大量失点に絡んでしまったので、チームに申し訳ない」

 衝撃的な1発のダメージは前夜、プロ初勝利を手にしたラッキーボーイ小熊にも伝染した。2番手で登板した3年目右腕は4回に中島、フェルナンデス、6回には中村からとまさかの3被弾。3回7失点と打ち込まれた。20歳は「見ての通りです。それだけです…」と答えるのが精いっぱいだった。8回には4番手平井がまたも4番中村に本塁打を献上。西武の主軸3人に1試合5発を浴びる、まさに“KO負け”だった。

 「いいじゃん。打たれて覚えれば。そういう年代じゃん」

 落合監督は苦しみながらも3イニングを投げ抜いた小熊を責めることはなかった。それよりも2日間で経験した天国と地獄を今後に生かすことを願った。また取り返せばいい-。指揮官からはそんな余裕がにじみ出ていた。【桝井聡】