<巨人1-2ソフトバンク>◇26日◇東京ドーム

 ソフトバンクが脅威の代打力で、会心の逆転白星だ。8回に代打で登場したアレックス・カブレラ内野手(39)が、自身2本目となる代打逆転V打。通算350本塁打のスラッガーが控えに回る豪華戦力が、好投の巨人東野を打ち砕いた。交流戦での球団新となる8戦連続負けなしを記録。無敗街道に、ピリオドは見えてこない。

 12三振を奪われた巨人東野をうっちゃる逆転勝利へ流れはカブレラのバットに集約された。1点を追う8回2死一、二塁。通算350発スラッガーの代打コールにどよめきと歓声が起こった。1ボール1ストライクからの3球目。明らかなボール球のスライダーを空振り。だが追い込まれたはずのカブレラは冷静だった。

 (1)スライダー狙い

 4球目の際どい外角スライダーを平然と見送った。フルカウントからの6球目。外角スライダー。ようやく腕が届きそうなコースを、しっかり芯に当ててみせた。「(決め球に)100%何が来るかは分かっていた。彼の勝負球はスライダー」。

 (2)方向も打ち方も狙い通り

 思い切り踏み込んだ。引っ張ることなく、打球には中堅から右中間方向に流れる回転をかけた。代打逆転2点適時二塁打だ。「センターから右に、強いラインドライブのかかった打球を打つつもりだった」。

 この集中力を首脳陣も待っていた。4本塁打は放っているが、打率2割を切る不振。DHのない交流戦ビジターで、4番一塁を主将小久保に託し、代打要員として控えに。勝負のかかったシーンでの起用を、好転へのきっかけにしたい思惑があった。カブ砲は「強い集中力を持って打席に入った」と胸を張った。

 8回の代打カブレラ登場には勝負のアヤがあった。6回に投手ホールトンに打席が巡ってきた。僅差の勝負とみればカブレラ、松中、田上と強力代打陣のうち1枚カードを切ってもおかしくなかった。だが首脳陣は踏みとどまった。右肘違和感から前日復活したファルケンボーグに休養を与えた。ホールトンを続投させる決断が当たった。秋山監督は「今日もワンチャンス。カブレラは(控えでも)真面目にやってくれている。(同じく控えの)信彦もな」。豪華代打陣の大仕事に笑みがこぼれるのも当然だ。

 交流戦に入り、8戦無敗は球団新記録。引き分けを挟んで6連勝だ。貯金13は、リーグ優勝した昨年の最終貯金。「賢く野球をやらないとこの世界、長くは生きていけない」とカブレラ。長く日本球界で結果を残し、とうとう念願の自家用ヘリコプターまで購入した大砲が、28日からの本拠ゲームでスタメンに帰ってくる。【松井周治】