楽天星野仙一監督(64)が21日、選手に体力向上指令を出した。現状を「練習不足だ」と断じ、夏本番を前にシーズンを戦い抜く基礎体力の重要性を力説した。最下位からの逆襲のキーワードは、ずばり「マッチョ」だ。

 この日の練習で、選手たちはスコールにもめげず、Kスタ宮城のグラウンドを駆けた。左翼ポールから右翼ポールまで。再び左翼ポールへ。アメリカンノックの嵐だ。ベンチにドカッと腰掛けた星野監督だったが、視線は鋭く向けていた。「おい!

 休み長いぞ」「ちゃんと走っとらんやないか。声だけか!?」。冗談交じりも、言われた方はたまらない。歯を食いしばり足を動かした。

 就任した昨秋から、1つの懸念を持っていた。

 星野監督

 このチームにはマッチョがいない。練習不足や。小力がないやつも多いし、土台になる体力がない。

 単純な体の大きさや筋力だけではないパワー不足を指摘した。経験から思う。中日でプロの門をたたいた当時、トレーニングコーチは自衛隊出身の人だったという。メニューは過酷を極めた。砂浜でのうさぎ跳びや、銃に見立てたバットを手にほふく前進もした。一見、はちゃめちゃでも体力はメキメキついた。「内野のアメリカンノック10往復ぐらいでヘロヘロじゃいかん。俺らのころは1時間はやってたぞ」という述懐には説得力がある。

 グラウンドを離れた時間も含め戦う姿勢に厳しさを求めるが、単なる根性論じゃない。「体の体力がつかないと心の体力もつかない」が持論。だから、まずは体を鍛えさせる。この日は「走らせろ」の号令一下、控え中心にアメリカンノックを繰り返した。外野の一角を狙う横川は「僕は出場が少ない分、走らないと」。彼らの“突き上げ”がチームを強くする。

 借金返済を狙った交流戦は4つ負け越し。「先は考えない。1戦1戦の積み重ね」と監督。3位オリックスは2・5ゲームの圏内。マッチョになった選手とともに、実りの秋へ突き進むのみだ。【古川真弥】