<阪神4-4横浜>◇29日◇甲子園

 阪神榎田大樹投手(24)が今日30日に出場選手登録を抹消されることが濃厚となった。1年目からセットアッパーとしてチームトップの33試合に登板してきたが、ここ最近は疲労のせいか調子を落としていた。この日も同点適時打を浴びるなど1回2安打1失点。シーズン終盤の勝負どころを見すえ、再調整の場を与えることになった。

 3時間38分の熱戦を引き分けた。借金1のまま、単独2位をキープした。首位ヤクルトとのゲーム差は7・5。もちろん、狙うは頂点のみだ。残り69試合、さらなる勝負どころを見すえ、猛虎が先手を打つ。本来の姿に戻すべく、セットアッパー榎田の1軍登録抹消が濃厚となった。

 ルーキー左腕は開幕1軍を勝ち取り、その実力で救援陣の中核に居場所を見つけた。負け試合の中盤→接戦での勝負どころ→球児の前。とんとん拍子に登板の舞台を昇格させ、前半戦は文字通りフル回転した。1年目から監督推薦で球宴にも選ばれ、ここまでチームトップの33試合に登板。リーグ3位の21ホールドポイントをあげ、防御率2・39は堂々の成績だ。

 ただ、ここ最近は疲労が見え隠れする。前半戦序盤から中盤にかけての神がかり的な快投は、影を潜めているのも確か。微妙な制球に苦しみ、痛打される場面も目立ち始めていた。22日の球宴初戦は日本ハム稲葉に1発を浴び、1回を1安打1失点。翌23日の第2戦は1回1安打無失点。後半戦開幕戦・26日中日戦は1回無安打無失点ながら2四球を許していた。

 この日は1点リードの6回に登板。先頭の6番内藤への初球140キロ直球が甘く入り、左中間二塁打を浴びた。その後、一塁手ブラゼルの野選も絡み、2死一、二塁から1番下園に左前同点打を決められた。「あれ(二塁打)が痛かった。二塁打がなければ(野選も)なかったので…」。猛省の言葉を並べた左腕だが、試合後に登録抹消が決まったもようだ。

 決してネガティブな形ではなく、“積極的抹消”といえる。昨季は藤川を何度もイニングまたぎで起用した結果、勝負どころでチーム、ブルペン陣ともに失速。今季は前年の反省を糧に、ここまで1度も守護神をイニングまたぎさせていない。ルーキーとはいえ、榎田は今や虎のキーマンといえる存在。再調整で調子を取り戻させ、来るべき時にフル回転させる狙いがあるはずだ。

 榎田とともに加藤、林威助も登録抹消される見込み。今日30日横浜戦(甲子園)に1軍再登録されて先発する鄭凱文に加え、2軍で好調をキープする中継ぎ左腕、小嶋、筒井、藤原の中から2人の昇格も予想される。フレッシュな人材に出番を与えながら、逆転Vのため、冷静に戦力を整える。