<ロッテ6-2楽天>◇30日◇QVCマリン

 星野楽天が5月2日以来の3位浮上に失敗した。敵地でのロッテ戦は、先発ケビン・ヒメネス投手(30)が3回3失点でKOされ、終始主導権を握られたまま完敗した。打線は2点を返しなお1死満塁の8回、西村、横川の若手が凡退した。節目の80試合目で浮き彫りとなった課題を練習で克服しながら、激しいAクラス争いを抜け出したい。

 ヒメネスは独り相撲だった。来日初勝利を狙い6度目の先発。いつももたつく立ち上がりは相変わらずだった。1死一塁だ。3番井口への初球、伊志嶺にモーションを盗まれ悠々と盗塁された。併殺を焦って投ゴロ処理を悪送球。先制を許した。

 追い上げムードが漂い始めた8回1死満塁の場面では、若手が力勝負に屈した。ベンチにはガルシア、鉄平が残っていたが、星野仙一監督(64)は西村をそのまま打席に送った。ロッテの中継ぎロサの151キロ直球に完全に振り遅れ空振り三振。横川も正面の二ゴロで好機はついえた。

 投打にわたり、星野監督が指摘していた通りの課題が露呈した。ソフトバンクに敗れた28日の試合後、首脳陣ミーティングでチームの現状を洗った。席上、監督は阪神金本の例を出しコーチ陣に説いた。

 星野監督

 カネだって、駆け出しのころは体が細くてパワーがなかったんだ。今の聖沢と同じくらいの体格で、線が細かったんだ。徹底的なトレーニングで腕力をつけて、強いボールに負けない力を身に付けたんだ。ウチの選手にパワーがないのは明らかじゃないか。やることは分かっているはずだ。

 投手陣にも宿題を出した。

 星野監督

 けん制、クイックに対する意識が低すぎる。相手に自信を持って大きなリードをされ、ウエストしても走られてしまう。恥ずかしいと思わなくては。殺意を持ったけん制、フォームの工夫で、もっと防げるはずだ。

 場は静まり返ったという。「シーズンが終わったらそれこそ、徹底的にやらせるつもりでいる。でもシーズン中だって時間を見つけて練習は出来る。ブルペン投球の合間とか、日中の空いている時間とかな」と星野監督。力を蓄える作業と並行して、Aクラス入りを目指す日々の勝負も拾っていく。濃密な残り64試合になる。【宮下敬至】