MLBアジアのジム・スモール副社長(50)が9月30日都内で、13年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本参加をめぐる問題について日本側との話し合いを継続する意向を示した。当初、同30日(日本時間10月1日)を参加表明の回答期限としていた。日本側からの回答書は届いていないとした上で「これが絶対的締め切りと考えていない。我々から伝えたのは9月30日をもって、そこからは日本の不参加もあると想定して新たな参加チーム、開催球場を探すということ。最終的に決まるまでドアは開け放たれている」と話した。

 日本側はスポンサー権と商品化権のNPBへの帰属を要求しているが、MLB側はスポンサー権について譲歩しない姿勢を強調した。「スポンサー権の譲渡を認めれば3~4カ国しか出場できなくなってしまう。WBCはFIFAや五輪などの国際大会とは違い、野球を世界に育てるのが趣旨。収益(スポンサー収入)の大きいアメリカと日本が他国を助ける責任を負っている」と主張した。

 大会の収入配分がMLB側の66%に対し、日本側は13%と開きがあることについても反論した。「日本の選手にはアメリカの選手より45%多い報酬が支払われている」とし、各国の収入をMLBやNPBなど所属リーグの選手で割ると、日本人選手が最も高額になると説明した。

 今後はアジアラウンドの開催球場が決まるまで継続協議となる。スモール副社長は「アジアラウンドを東京で開催することに強い希望を持っている。日本が参加することを日本の選手も世界中のファンも望んでいる」と本音をのぞかせた。それでも、これまでの主張を変えるつもりは現時点ではなく、日米間の交渉は難航しそうだ。【WBC経緯】

 ◇第1回大会(06年)

 MLBが05年にWBC開催を発表。日本は一方的な開催通告やMLB中心の利益配分に反発し参加を保留。選手会も05年7月の選手会総会で不参加を決議した。しかしMLBが日本の不参加によりWBCが失敗した場合、日本に経済的補償を要求することを通達。これを受けて不参加の方針を撤回し、05年9月に参加を決定した。

 ◇第2回大会(09年)

 第1回大会の成功によりMLB中心の利益配分が明らかに。日本側はヘルメットとユニホーム袖のスポンサー権を要求。MLB側と約3年間交渉するが受け入れられず、日本側が譲歩する形で08年9月に参加を表明した。

 ◇第3回大会(13年)

 第1、2回大会の覇者である日本は、収益面でも大会全体のスポンサー収入の約6割となる約9億円を占める貢献度の高さを示した(選手会調べ)。選手会は10年からスポンサー権と商品化権のNPBへの譲渡を要求し、認められなければ不参加の意向を10年12月の選手会総会で決議。11年7月の選手会臨時大会で表明した。