<巨人1-4横浜>◇4日◇東京ドーム

 育成からはい上がってきた横浜国吉佑樹投手(20)は、自分を信じる大切さを知っていた。6回に1点を返され3-1となり、なお1死一、二塁で打席には強打者ラミレス。1発逆転の場面で選択したのは、自信のある直球だった。「真っすぐが走っていたので、打たれるまでどんどん押していこう」。ラミレスを外角144キロで右飛に打ち取ると、高橋由は外角いっぱい147キロで見逃し三振に仕留めた。自己最長の7回を投げ、無四球での6安打1失点。6試合目での初勝利に「うれしいです」とはにかんだ。

 ここまで迷わず突き進んできた。祖父が米国人のバスケットボール一家に生まれたが、「野球の方が面白そうだな」と、プロ野球選手になりたいとの思いを抱いた。プロ1年目の昨季は肩の故障に苦しんだが「今は体作りの期間」と、黙々とトレーニングを続けた。そして今年、2軍で結果を残すと7月に支配下登録選手となった。「去年の今ごろ、1年後の自分が初勝利できるところにはいないと思っていました。野球をやってて、良かった」。信念を貫いた末に勝利をつかんだ男の、本音が漏れた。

 尾花監督は「課題を毎回消化してくれている。着実に成長している」と目を細めた。入団時から体重は15キロ増。体も心も成長過程にある、195センチでイケメンの「ハマの佑ちゃん」の進化は、まだまだ止まりそうにない。