<横浜3-3中日>◇18日◇横浜

 中日落合博満監督(57)が、球団初のセ・リーグ連覇を成し遂げた。ヤクルトをかわして首位に立ち、優勝マジック1で迎えた18日の横浜戦に引き分けて優勝を決めた。

 最後は浅尾拓也投手(26)だった。延長10回2死一塁。「浅尾コール」のなか、筒香を3球で追い込むと、最後は133キロフォークで空振り三振に仕留めた。右手を握り締めて絶叫した。走り寄ってきた谷繁に飛びついた。長いシーズンが終わり、待っていたのは胴上げ投手という最高のゴールだった。

 涙はない。それよりも開放感が浅尾を包んだ。「めちゃくちゃうれしいです。(リーグ優勝は)監督がいつも言ってきたこと。連覇できて本当によかった。応援してもらったみなさんに本当に感謝しています」。

 疲れはピークに達していた。9月に入って、体の異変にチームスタッフが気付いた。極度の疲労から弾力性のあるしなやかな腕の筋肉が硬直していた。いつのまにか笑顔も消えた。スタッフは首脳陣に登板を控えさせるよう申し出た。ただ、浅尾は最後まで「大丈夫です」と言い続けた。

 肉体的にも精神的にもボロボロになりかけた。そんな時だった。9月20日の横浜遠征。落合監督がポツリと漏らした。「だんだんとプロ野球選手に近づいてきたな」。苦しみ、もがきながらもマウンドに上がる姿をすぐそばで見ていたのは落合監督だった。

 「ちょっとは認められたのかなという思いはありました。でも現状に満足せずにもっと頑張れということだと今は思っています」

 落合監督のもとで走り続けた5年間。今季はすでに79試合に投げて7勝2敗、45ホールド、10セーブ。防御率0・41と驚異的な数字だ。9月17日巨人戦では歴代1位となる通算155ホールドポイントを記録。セ・リーグMVP最有力であることは間違いない。10ゲーム差をひっくり返しての連覇達成。球史に残る大逆転劇は、この男の活躍なくして語ることはできない。【桝井聡】