阪神次期監督に和田豊1軍打撃コーチ(49)が内部昇格することが20日、明らかになった。外部招聘(しょうへい)の場合は日本ハム梨田昌孝監督(58)が有力視されたが、クライマックスシリーズ進出で監督人選の長期化を回避。最終決断した坂井信也オーナー(63=阪神電鉄会長)は、24日に南信男球団社長(56)とトップ会談を開き、役員会で了承の運び。4位に低迷し、6年間優勝から遠ざかったタテジマ再建を和田監督に託すことになった。

 阪神の次期監督に、和田豊打撃コーチが内部昇格することが決まった。この日、坂井オーナーは神戸市内で、初めて新監督を選定する時期に触れて「シーズンが終わるまでには、なるべく早く決めたい。喜んで遅くしているわけではない。そんなに長く話し合うこともない。一瞬で決めるかもしれない」と語った。

 これまで外部招聘の場合は日本ハム梨田監督が最有力、前2軍監督の平田勝男氏(52=野球評論家)と合わせて論議を続けてきた。しかし、日本ハムがクライマックスシリーズ進出で監督人選が長期化し、チーム強化が遅れることを回避するため、この日、坂井オーナーは自ら内部昇格を決断。電鉄本社首脳は「内部昇格になる」と明言。週明けの24日にも南球団社長とトップ会談を開催、役員会で了承の運びとなった。

 球団は生え抜き路線の継承を重要視した。現役時代の和田コーチはしぶといバッティングで鳴らし、指導者としても熱心かつ理論派で選手育成に定評があった。タテジマひと筋で、真弓監督も「生え抜き同然」の存在だったから、その路線を継承することとなる。坂井オーナーは、新監督の理想を一般論として「成熟したチームで、それぞれ素晴らしい選手がいる。それを率いていくのはとても難しいなと思う。長丁場の戦いで息切れ型になっているし、いろいろと課題はある」と話した。

 チームは05年を最後に6年連続で優勝を逃している。主力選手の高齢化も進んで、世代交代も急務となっている。大きな過渡期を迎えるにあたって、チームの長所も短所もしっかりと把握した和田コーチに白羽の矢が立つ形だ。11月2日から始まる秋季キャンプに、和田新体制で臨める見通しだ。

 12日の巨人戦に敗れて、クライマックスシリーズ進出を逃した場合に真弓監督が辞任することが表面化。球団は、新監督候補の選定を進めてきた。十分な情報収集と議論を重ねた上で、和田コーチの内部昇格が決定的になった。

 ◆和田豊(わだ・ゆたか)1962年(昭37)9月2日、千葉県生まれ。我孫子高から日大を経て84年ドラフト3位で阪神入り。4年目の88年にレギュラー定着。同年にシーズン最多犠打(56)を記録。97年には開幕から24試合連続安打の日本新記録を樹立した。92、94年にベストナイン、92年から3年連続でゴールデングラブ賞にも輝く。01年に選手兼任で打撃コーチに就任。02年からコーチ専任になり、04年には2軍総合コーチを務める。05年に1軍打撃コーチに復帰した。右投げ右打ち。174センチ、75キロ。