中日落合博満監督(57)が今日2日開幕するCSファイナルステージでも放任野球を貫く。9月22日の監督退任発表から始まった快進撃で逆転優勝。その間、選手たちには何も語らなかったが、ヤクルトとの最終決戦を翌日に控えた1日も黙って見守った。

 「何か言わなきゃいけないか?

 何を言う必要があるんだ?」

 決戦を翌日に控えた本拠地ナゴヤドームで、グラウンドに流れる空気はやはり違った。巨人を下したヤクルトが、名古屋に乗り込んでくる。選手たちの動きは明らかに緊迫していたが、それをじっと見つめる落合監督に言葉はなかった。

 10ゲーム差を逆転して連覇を達成したペナントレースと同じだ。9月22日、ヤクルト戦前の監督退任発表から、チームは信じられない勢いで走り始めた。「指揮を執るにも言葉が必要な時と、いらない時がある。今は言葉がいらない時」。あえて黙したことで大逆転優勝はなった。あれから2週間がたった今も、落合監督の目にはやはり言葉は不要だと映った。

 リーグ王者だけに与えられる1勝のアドバンテージ。決戦の場がヤクルト相手に9勝2敗1分けと勝ち越した本拠地という地の利。何より、落合監督の想像をも上回る選手たちのエネルギーが、自信の根拠だ。【鈴木忠平】