熱いぜ!

 中畑!

 横浜DeNAは9日、元巨人の中畑清氏(57)の監督就任を正式発表。横浜市内のホテルで行われた会見で中畑新監督は、約1時間にわたり、思いの丈を語りまくった。代名詞だった「絶好調」を封印し、新たなキャッチフレーズを「熱いぜ」とすることも“発表”した。推定年俸1億円の2年契約で、背番号は未定。新たなチームロゴもお披露目され、かじ取り役が決まった新生ベイスターズがついに船出した。

 1時間に及んだ会見は笑いの連続だった。ネタあり、記者への突っ込みあり。持ち前の明るいキャラクター全開だったが、初代監督を務めることへの熱意も全開だった。「このチームを預かって、みなさんに喜んでもらえる。そして、負けたときに『ああ、しょうがねえな。また明日応援に来ようや』と言ってもらえるような、そんなチームを、そんな選手をつくっていきたいと思っています」。04年アテネ五輪で日本代表ヘッドコーチを務めて以来、来年8年ぶりの現場復帰。そして目指し続けてきた監督という大役。込み上げる思いを抑えることは出来なかった。

 就任を機に、自らの代名詞を封印することも宣言した。「“絶好調”は選手のものというスタンスをとっていきたい。譲りましょう。今日から一切言いません!」。新たにキャッチフレーズに選んだのは、4年連続最下位に低迷するチームを奮い立たせる“熱いぜ”だった。「何かに立ち向かう気持ちがないと、出てこない言葉」。戦う集団に必要不可欠で、自分自身を支える“情熱”から生まれた言葉は、新生横浜へのメッセージでもあった。

 その思いは来年2月の春季キャンプから実践される。「若い選手は今しかない。本物をつくり出すためには鉄は熱いうちに打て」と、ハードな練習を予告。当然その先頭に立ち、マンツーマンのノック勝負や終日、ティー打撃のトス役を務めることもいとわない。「妥協はしませんよ」という顔は真剣そのものだった。

 鍛え上げる選手の筆頭には、筒香の名を挙げた。「初めてフリー打撃を見たとき、久しぶりに感動した。松井も見てきたけど、全く質が違う。豪快で柔らかくていち早くものになるだろうなと、期待を持ちながら見ていた」。日本を代表する打者を引き合いに出し、素質の高さを表現した。93、94年の巨人コーチ時代。プロ1、2年目の松井を頻繁に自宅に呼び、食事をさせては、地下室で打撃指導を行った。その熱血ぶりを、今度は横浜の未来を担う大砲に注ぐつもりだ。「これからのベイスターズを背負っていかなきゃいけないという自覚を持たないといけない。一番のターゲットかな」と、大きな期待を込めて指名した。

 徹底的に鍛えて臨む1年目のシーズン。目標は高い。3年後のCS進出、5年後優勝では満足しない。「やる以上は、現場はてっぺんを目指さないといけない」。新チームを託された熱い男の目は、期待に輝き、上だけを見ている。【佐竹実】