エースはいらない!

 ソフトバンク秋山幸二監督(49)は12日、福岡空港からナインとともにV旅行先ハワイに出発した。来季に向け、巨人入りが決定的なエース杉内俊哉投手(31)の流出を覚悟。和田毅投手(30)、D・J・ホールトン投手(32)も流出するが、あえてエースをつくらず、総力戦で連続日本一を狙う考えを示した。

 ハワイ出発前の秋山監督は、腹をくくっていた。エース杉内俊哉投手(31)は熱烈なラブコールを送られている巨人入りが確実で、今季16勝の和田毅投手(30)と19勝のD・J・ホールトン投手(32)も退団濃厚。今季3人で計43勝した穴は大きい。代役を立てたくなるところだが、現有戦力に過剰な重圧をかけない。「だれが軸とかじゃなくて調子がいい選手を使っていく。いないものはしょうがない」と話した。

 新戦力として期待できるのは、先発転向1年目で14勝した摂津。さらに西武からFA加入する見込みの左腕帆足。岩崎、山田、大場らが成長し、来季は飛躍も見込める。これらの戦力に加えて、若手の成長も期待し、臨機応変な投手起用で連続日本一を狙う構えだ。高山投手コーチは「(杉内、和田、ホールトンには)残ってもらうのが一番いいんだけど、ここにいる選手でやるしかないからね」と話した。

 今季は圧倒的な強さでパ・リーグ優勝、クライマックスシリーズ突破、日本一制覇と「完全V」を成し遂げた。だが、孫正義オーナー(54)からは「日本一V10達成」という壮大な指令を受けている。エース級3枚看板が抜けるのは痛いが、いつまでも3人に頼っていてはチームの新陳代謝が進まない。つねに変化し続ける中で、常勝軍団をつくるのが理想だ。

 ベテラン捕手細川がうまく若手を育てていることも強み。常夏のハワイへ旅立った秋山監督は、シビアで激しい来季の戦いに向け、いったんリフレッシュする。【菊川光一】