3年ぶりのリーグ奪回に向けた巨人の大型補強が完成した。ソフトバンクからFA宣言した杉内俊哉投手(31)が19日、都内のホテルで巨人と3度目の交渉を行い、入団を表明した。午前中にはソフトバンク側に断りを入れ、そのまま上京し、自ら巨人への入団意思を伝えた。話し合いの中で、終身名誉監督の長嶋茂雄氏(75)から直接電話で激励を受けるなど、感激した様子。背番号は18に決定。計り知れない期待を背負って「巨人杉内」が誕生した。

 晴れ晴れとした杉内の表情には、重圧と闘う決意がみなぎっていた。「背番号18番というのが一番響きました」。地元福岡を離れることを家族と悩み、悩み抜いた末の決断だった。現在の心境を「今はすっきりしています。すごくプレッシャーもありますけど、それをプラスにしようと、強い覚悟を背負っていこうと思います」と、気を引き締めた。

 交渉の席で、長嶋氏から直接激励の電話を受けた。「強い巨人軍にしてください」。この日、杉内が入団を表明する可能性があると原沢GMから伝え聞いた長嶋氏が、激励の電話をしたいと熱望した。交渉の席で同GMから電話をかけ、それを杉内が受け取った形で会話が実現した。「初めてだったのですごく緊張しました」。第1回交渉の時に受けた原監督の電話に続いて、これ以上ないサプライズだった。FA選手の獲得に長嶋氏が動いたのは、終身名誉監督に就任して以降は初めて。杉内は「頑張りますと伝えました」と、短い言葉で思いを表した。

 巨人投手陣の中でも、当然ながら2番手、3番手に甘んじるつもりはない。チームには今季18勝の内海がいる。WBCでも共に戦った同じ左腕について「競い合っていけば必ずプラスになる。負けないようにしたい」と闘争心を口にした。今季パ・リーグ最多勝のホールトン獲得に続き、さらに厚みを増した先発陣。その中で1番手を目指すことについて「どのチームに行ってもその気持ちはあります」と断言した。この言葉は開幕投手を目指すことも意味する。原沢GMが「歴史的に見ても巨人の左投手というのは優勝を左右する存在」と話したように、ダブル左腕の争いはチームを間違いなく活性化させる。

 原監督は杉内について「彼は背番号18番を背負うのにふさわしい投手で、その実力も十分に持っています。優勝に絶対に必要な戦力」と期待を寄せた。杉内は「1年目から必ず結果を残さないといけない立場」と力強く語った。打線では横浜から村田を獲得し、着々と進んだ大型補強。「巨人杉内」の誕生で、またひとつ、リーグ奪回への大きな力が加わった。【斎藤庸裕】