内川が「金八先生」になった!?

 ソフトバンク内川聖一外野手(29)が8日、大分市の成人記念集会にトークゲストで参加。新成人たちに「何かうまくいかない時こそ大事」と心の訓示をした。肉離れで1カ月の離脱を乗り越え、両リーグ首位打者を果たしたふるさとの「兄貴」から熱のこもった贈る言葉だ。

 心に染みる言葉に晴れ着に身を包んだ新成人たちはうなずいた。教壇はなくてもマイクを通じた内川の“授業”はTBS系ドラマ「3年B組金八先生」にそっくり。釘宮大分市長から「挫折をどう乗り越えたか」と質問され、会場の“生徒”を見渡して語り始めた。

 「けがや故障は寂しくつらいもの。でも何かうまくいかない時が大事、力を伸ばす時。野球ができない時こそ大きくなって戻ろうと思って頑張るから大きくなれる。一瞬、その壁から逃げるのは簡単。でもいつか乗り越えないといけない。後々に延ばすか、今乗り越えるか。よし、今越えてやろうというのはレベルアップになると思います」

 社会に出れば希望だけでなく困難や逆境もある。そこが成長の分岐点だと自らの経験を重ねて熱弁した。

 「僕は横浜で7年目を終えたオフ、両親に今年だめなら野球をやめて大分に帰ると言った。でもヤクルトから来た杉村コーチに出会い、自分が長所と思っていたことが短所と指摘され、考えがガラッと変わった。それはもう必死でした」

 レギュラー定着できずにいた壁に直面して打撃の考え方を変え、実際8年目に首位打者に輝いた。ソフトバンク移籍1年目の昨年も人生初の右太もも裏肉離れで1カ月の離脱を味わった。それでも懸命のリハビリで両リーグ首位打者という金字塔を打ち立て、日本一にたどりついた。

 「どんなことも何か自分のためになる。プラスになると思う。そこで経験値も増える。新成人の皆さんに僕を見て何かを感じてもらえたら幸いです」

 司会者から最後にメッセージをお願いされると、お立ち台で定着した大分弁でぶちかました。「僕も知真剣(しらしんけん=一生懸命の意味)頑張るけん、みんなも頑張りよな!」。故郷の後輩に語りかけた「内川先生」は2年連続日本一に向けて今日9日、大分自主トレをスタートさせる。【押谷謙爾】