憲伸が復活ののろしを上げた。4年ぶりに中日に復帰した川上憲伸投手(36)が2日、今キャンプ初めてとなるブルペン入り。変化球を交えて50球を投げ込んだ。右肩の不安を感じさせない力強い投球に、権藤投手コーチも「故障者じゃない」。リーグ3連覇に向け、頼もしい存在になりそうだ。

 ブルペンにいた誰もが、川上の投球に目を奪われた。力感のある独特のフォームから伸びのあるボールが次々と捕手のミットに収まる。山本昌、岩瀬、浅尾、吉見…。歴代のタイトルホルダーが一列に並ぶ豪華なブルペンで主役になったのは背番号11だった。

 ブルペンから引き揚げると「隣がすばらしいピッチャーなので邪魔しないようにしました」と笑ったが、そのボールはまったく遠慮はなかった。球を受けた前田は「この時期にあれだけというのはすごい。立ち投げの1球目で差し込まれた」。4年前の川上を知るプロ11年目も仕上がりの早さに目を丸くした。

 投じたのは直球、カットボール、カーブ。変化球は立ち投げでカットボール5球、捕手を座らせてからカーブ6球を織り交ぜた。この時期の投手は直球だけでブルペンを終えることが多いが、すでに実戦モードに突入した証しだ。

 一番驚いたのは間近で見守った権藤投手コーチだ。「まさかあそこまで戻っているとは思わなかった。故障者じゃないよ」と仰天。「戦いの輪に加わったということでしょう」と不安を一蹴した元エースの姿をうれしそうに見つめた。

 「カット(ボール)はここ数年使えないものになっていたので、自分のものにしていかないと。もう1度、まっすぐ(の球筋)と同じように投げられるようにしたい」。注目の初ブルペンを無事に終えても冷静沈着。今年の竜投を盛り上げるのは、やはりこの男かもしれない。【桝井聡】