巨人沢村拓一投手(23)が、今日5日の宮崎春季キャンプ第1クール最終日に打撃投手に登板する。昨季200イニング登板をクリアした先発の軸が、早くも打者相手に反応を確かめる。第1クールで主力投手が打撃投手に登場するのは異例。真価が問われる2年目もハイペースで歩を進める。

 巨人の開幕投手候補の沢村が、内海、杉内らに先立って打者と対峙(たいじ)する。今キャンプではブルペン入りが初日と3日目の2回。球数も2日間合わせ85球と、先輩2人よりずっと少ない。だが、2年目右腕に早くもバッター相手の“GOサイン”が出た。西村、高木とともに、日曜日のサンマリン宮崎に登場する。

 即戦力ルーキーとして臨んだ昨年のキャンプでは第2クール2日目に打撃投手を務めたが、今季は第1クール最終日の登板。異例のスピード調整が実行される。川口投手総合コーチは「打者相手に2回投げて、紅白戦に入って行くのが理想。自主トレからみんなのペースが順調だし、投げられる人から打撃投手に入ってもらう」と話しており、現時点での沢村の仕上がりに合格の判断を下した。

 前日のブルペンでは47球を投げ、投球内容に不満顔で、いら立ちを爆発させた。だが、自己採点とは裏腹に投球を見守った原監督ら首脳陣の評価は上々だった。冷静さを取り戻すと「真っすぐ腕の振りができないと、変化球も決まらない。ただ、ある程度の感覚はあるので大丈夫です」と、ルーキーだった1年前とは違う自己分析もあった。

 この日はブルペンに入らず、野手陣とのけん制の練習に参加し、ランニングメニューを消化。「フォームがまだまだなんで」と自主的に遠投を取り入れた。最長110メートルの距離を約30分、投げ込むことで投球動作における上半身と下半身のバランスを確認した。「今日は良かったと思います。しっかりと紅白戦、オープン戦に合わせていきたい」と確かな手応えを得た。

 仕上がりの早さは近年の日本のプロ野球では一種のトレンドとも言える。原監督は「我々のころの選手は、オフに1度エンジンを切っていたが、今の選手はオフもエンジンを1度も切ることなく、11月、12月くらいから準備を始めている。だから、全体的に仕上がりは早い。こういうのは、いい風潮ですよね」と、大いに歓迎した。沢村本人も「僕は実績なんかないですが、どんなに実績を残してもアピールする気持ちは変わらない」と、きっぱり。打撃投手と言えども、あくまでも調整に変わりはない。ただ、打者との対戦が何よりもアピールになることを沢村は分かっている。