<オープン戦:巨人0-0西武>◇3日◇東京ドーム

 巨人内海哲也投手(29)が4回無失点で開幕投手に「当確」ランプをともした。3日、西武とのオープン戦に2番手として4回から登板。いきなり中島、中村、カーターという重量感ある相手が並んだが、冷静かつ集中していた。「4イニングと言われていた。1イニング目を3人で抑えられれば後の回もうまく投げられる」。フォークと直球を決め球に、3人からそれぞれ4球ずつで連続三振を奪った。「出来すぎです」。2年ぶり3度目の開幕投手をほぼ手中にしホッとしたように笑った。

 約1年前。開幕投手の座だけでなく、自信も失っていた。昨年3月13日阪神戦でめった打ちされた。「散々でしたね」。振り返るだけで苦笑が交じる。2年連続で手にするはずだった栄誉は、東野がつかんだ。かわいい後輩とはいえ、開幕投手を奪われた悔しさはないはずはない。「結果を残した投手が務めるのが普通です」。言い訳せず、思いは1年間グッと胸の内にしまった。昨季18勝の最多勝タイトルの下地には、そんな秘めた思いがある。

 その経験があるから、今がある。「開幕投手を投げたいというつもりでオフからトレーニングしています」とオープン戦でも隙はなかった。「ああいう活躍ができたので、成長しないとおかしいと思ってやってます」。7回2死一、三塁のピンチでは、顔色を変えず堂々と高山を三振に打ち取った。だが実際は違った。「正直、余裕はなかった。でもそういう風に(逆に)振る舞うと打者も戸惑ってくれるかなという意識です」。地獄と天国を見た去年に得た、相手をひるませるエースの風格だった。

 原監督は、開幕投手への通達は今日4日かとの問いに「まあ、そうですね。明日終わってと言うことでしょうか」と明言は避けた。1日には「仮縫い」という独特の表現で開幕投手の“仕立て”が整ったと明かしていたが、この日の内海が「完成」と言えるだけの答えを出した。【浜本卓也】

 ◆内海の昨年オープン戦メモ

 3月5日、札幌ドームの日本ハム戦で初登板。先発し5回を投げ6安打、2失点の勝利投手と順調さをアピール。東日本大震災の影響でオープン戦の登板はこの1試合だけとなったが、同13日に行われた阪神との実戦形式の合同練習で火だるま。2回に四球を挟む8連打を浴び7点を奪われるなど、先発5回を投げ12安打の7失点。オープン戦2試合で11イニング無失点の東野に開幕投手を奪われた。