<オープン戦:DeNA3-0阪神>◇15日◇横浜

 試合前にドタバタしても勝った。DeNAは15日、開幕戦(30日)の相手となる阪神と対戦。メンバー交換では誤ったオーダー表を提出してしまったが、中畑清監督(58)が大慌てで訂正する一幕もあった。1回に機動力と相手のミスにつけ込み8球で先制するなど3点を奪い、5投手のリレーで逃げ切った。とんだスタートでも勝ちは勝ち。連敗も2で止め、本番での虎退治に勢いをつけた。

 試合開始30分前。中畑監督は阪神ベンチ裏に、血相を変えてダッシュした。理由はメンバー表に記入したスタメンの訂正。「昨日決めたオーダーでメンバー交換しちゃって。前代未聞だね。和田監督にすみませんって言って、その後審判のところにも行って。オープン戦で、まだ発表されてなかったからOKだったけど、公式戦ならアウトだね」と、冷や汗交じりに振り返った。

 これまではコーチ室に書き出されているスタメンをマネジャーがメンバー表に書き写す流れだった。しかしこの日は、試合前のコーチ会議でメンバーを変更。ベンチ裏には新しい打順が張り出されていた。選手は理解していたが、スタッフにしっかり伝達されていなかったことが原因だった。

 阪神サイドの了承もあり、事なきを得た。ドタバタはあったが、選手はきっちりと仕事をこなした。1回、先頭の梶谷が内野安打で出塁すると、盗塁と暴投で一気に三進。続く森本の左前打で、わずか8球で先制点を奪った。投手陣も無失点リレーを見せての完勝。訂正前の打順は9番だった森本は「9番と2番では役割も違う。2番はチャンスと思って、結果的にいい安打が出ましたね」と、変更が間に合わなければ生まれなかったはずの1本に笑顔を見せた。

 阪神とはオープン戦、練習試合を含めて1勝1分けと負けなかった。開幕前最後の顔合わせでの貴重な勝利だったが、中畑監督は「阪神は今どん底でしょう。今日のイメージを持っちゃうと、とんでもないことになる」。本番での虎退治に気を引き締め直した。【佐竹実】