2年目で初の開幕投手を任された日本ハム斎藤佑樹投手(23)が、尊敬する米大リーグ・マリナーズのイチロー外野手(38)の活躍に刺激を受けた。29日、札幌ドームでキャッチボールやダッシュなどを行い、本番前の調整を完了。今日30日の西武戦(札幌ドーム)で先発マウンドに立つ。「体と心の準備はしてきました」と準備は万端。いよいよ、新たなシーズンの幕が開く。

 本番を翌日に控え、斎藤に本来の笑顔が戻ってきた。全体練習のためグラウンドに現れると「緊張は前から高まっていて、ずっとそのままです」と身ぶり手ぶりで心境を説明した。「緊張感もあるけど(本番が近づくにつれ)楽しみという気持ちも増えてきました」。ここ数日と比べ、表情はどこか明るかった。

 前日28日のメジャー開幕戦をテレビ観戦した。「めちゃくちゃ刺激を受けましたよ。ああいう舞台で活躍できるのは、さすがです。何かの縁で同じマネジメント会社でやらせてもらっているので、自分も後を追って、開幕戦でいいピッチングを見せたいですね」。オフは合同自主トレを行った。大舞台に強く、周囲の期待を裏切らない。そんな姿に憧れ、尊敬している。

 イチローの後を追うべく、準備は整えてきた。西武各打者のイメージも出来ている。「中島さんには、いいイメージがない。抑え方がすごく難しい選手。西武打線はプロとして経験を積んでいる人がたくさんいるので、とにかく挑戦していく気持ち」と昨季3戦2勝も警戒心は緩めない。

 斎藤を開幕投手に指名した栗山監督はこの日夜、生出演したテレビ番組内で「斎藤には今年1勝も出来ないかもしれないよと言った」と明かした。開幕戦で投げれば、その後も他球団のエースとぶつかり続ける。その覚悟を問う厳しい言葉の一方で、「それも越えてくれると思っている」と期待した。

 いばらの道は斎藤も十分に承知。早実時代は夏の甲子園37年ぶりの決勝再試合、早大時代は50年ぶりとなる早慶での優勝決定戦と、球史を刻むマウンドに立ってきた財産がある。「プロ野球の開幕投手には重大な責任がある。大役をいただいたからには、覚悟を持って今年1年やっていこうと思います。言い訳をつくらないよう、一生懸命やりたい」。今年を「勝負の年」と位置づけた背番号18の戦いが、始まる。