<中日3-0DeNA>◇29日◇ナゴヤドーム

 DeNA中畑清監督(58)が苦悩の時を迎えている。中日投手陣に3安打に抑えられ、早くも今季7度目の完封負けを喫した。打線に関する質問に対し「無策旅情だね」。尾形大作の代表曲「無錫(むしゃく)旅情」に絡めたダジャレを口にしたが、キャンプ時のように報道陣から笑いはもれなかった。監督もすぐに「そんなこと言ってる場合じゃないな」と付け加えた。今季2度目の4連敗で借金9。もちろん最下位。開幕前から覚悟していたとはいえ、厳しい状況に陥った。

 前日28日からラミレスを控えに回した。ラミレスの状態もあるが、同時に守備重視の布陣で勢いを取り戻すという意図もあった。中畑監督の脳裏にあったのは阪神との開幕3連戦。出遅れたラミレスがスタメンから外れ、守りが安定した。「開幕3連戦のいい流れは守備の安定感があったから」。1勝1敗1分けで手応えを感じた戦い方に戻そうとした。コーチ陣と話し合った末ではなく、自らが下した決断。しかし、好結果につながっていない。

 育てながら勝つ。言葉にすれば簡単だが、道のりは険しい。中畑監督は巨人に12点差をつけられ大敗した26日。試合後の宿舎の食事会場で話し合う篠原、阿斗里、佐藤を見かけると、缶ビールを手に歩み寄り輪に入った。「投手心理の勉強会だな。篠原が講師役で本当にいいことを言ってたよ」。会話の途中で自らも「もっと思い切り伸び伸び投げろよ」などと声をかけた。選手と膝をつき合わせ話し合いながら、選手も自らも成長しようとしている。

 貧打、敗戦が続く中でいかに戦い成長していくか。低迷するチームの再建を誓った中畑監督の苦悩は、まだ続いていく。【佐竹実】

 ▼DeNAが早くも今季7度目の完封負け。7度はすべて4月に記録したもので、月間7度の完封負けは95年7月阪神以来、17年ぶり。DeNAでは大洋時代の53年9月7度、54年8月8度、56年7月7度、71年6月7度に次いで5度目だ。セ・リーグの月間最多完封負けは、大洋が54年8月に記録した8度。DeNAは今日の中日戦でも0点に抑えられると、セ・リーグワースト記録に並んでしまう。