<中日1-0DeNA>◇30日◇ナゴヤドーム

 あぁ打てない。勝てない。DeNAは、中日5回戦で今季8度目の完封負けを喫した。中畑清監督(58)は今3連戦の代打起用を明言していたラミレスを4番に戻し、先発は1番から9番まで右打者をそろえて左腕山本昌に対した。しかし、わずか2安打。中日戦は今季5試合全敗で1点しか奪えていない。6勝16敗1分けと借金は早くも2ケタに達し、このペースだとセ・リーグ史上例のない100敗に届いてしまう。中畑監督、どうする?

 中畑監督の唇をぐっとかみしめる表情に、もどかしさがにじんだ。0-0で迎えた6回。1死一塁から森本が初球エンドランもファウル。カウント2-2からも再び仕掛けるも、結果は遊ゴロ併殺打。動いても、動いても流れがつかめなかった。

 スコアだけ見れば接戦だが、中日戦5試合に全敗。わずか1点しか取れていない。中畑監督は「紙一重というより、点を取るムードを作りきれない。いい流れを生み出すことができなくて、歯がゆくて歯がゆくて。1点が入れば、ムードがいっぺんに変わると思うけど、うちに力がないということ」と、嘆くしかなかった。

 その1点を取るために、この日は2つの大きな決断を下して臨んだ。まずは、左腕山本昌に対し、1番から9番まで右打者を並べたオーダー。これまで中畑監督は「セオリーという言葉は嫌いなんだよ」と言い、予告先発で投手の左右が分かっても状態のいい選手を重視して起用してきた。しかし、この日は違った。

 試合前、その意図を説明した。「セオリーは嫌いっていうのを守り続けても、おかしい状態だなと思うようになった。点を取らない限り勝てない。ここで動かなかったら、俺もアホでしょ」。自分の目よりも、左投手には右打者が有利というセオリーを優先。ここまで全試合にスタメン出場していた主将石川も外し、1番には決して俊足とは言えない一輝を初めて据えた。

 2つ目の決断は、ラミレスの4番復帰だった。状態がよくない上、広いナゴヤドームでの守備に不安があることから今3連戦は控えに回すと明言していた。だが、2試合で方針を転換した。「ラミレスがいないと相手から見下ろされてしまう感じがあった。相手が警戒してくれる存在感がラミにはあるから」。今季23試合目にして18通り目となるオーダーは、前日の完封負け後、コーチ陣と意見交換をしながら決めた。掲げる機動力野球も、守備重視の方針も変更してまで組んだ「点を取ることにこだわった布陣」(中畑監督)。だが、それでも結果が出なかった。

 動かずに勝てず。そして動いても結果が出なかった。借金はついに2ケタ。このままのペースだと、リーグ初のシーズン100敗という屈辱に達してしまう。中畑監督は「今のところ力及ばず。運が来ることを信じてやるしかない」と、前を向いた。もがいて、もがいて光を見いだすしかない。浮上への険しい戦いに挑み続ける。【佐竹実】