<西武2-4ロッテ>◇5日◇西武ドーム

 ドラフトから555日。西武大石達也投手(23)が、あの日から期待されてきた1軍のマウンドに立った。舞台は早大時代、“自分の時間”だった試合終盤の8回。今季最多3万2076人の大歓声をBGMに登場したが、大石の足は「ガクガクだった」。6球団競合の末に入団するも、苦しみ抜いたプロ1年目。体に染み渡る振動は緊張や重圧とともに、勝負の場に立てた合図だった。

 昨季は開幕1軍入りしたが、右肩痛で降格。2軍生活が続き、一時はこの日さえ、想像できなかった。大学時代、155キロをマークした直球が130キロ台を計測。「自分の野球人生で今のような経験は初めて。体は普通なのに自分のボールが投げられなくて…」。周囲の期待に応えられないふがいなさ、自分への怒り、先の見えない不安…。葛藤の連続だった。

 勝負の2年目、雑音を消し去るように、自分と向き合った。キャンプ初日にチーム最多の113球。ブルペンで納得いかなければ、ひたすらネットスローを続けた。温厚な男が“投げ込みの鬼”に変身した。2回を1安打無失点。最速144キロの直球はキレ、伸びともに抜群だった。試合後「長かったですね」と漏らした後に「やっとスタートが切れた」とも言った。デビューでは早大でチームメートだった日本ハム斎藤、広島福井に後れはとったが、大石の物語がここから始まる。【久保賢吾】

 ◆大石達也(おおいし・たつや)1988年(昭63)10月10日、福岡・太宰府市生まれ。福岡大大濠-早大を経て、6球団競合の末、10年ドラフト1位で西武に入団。昨季は開幕1軍入りも右肩痛で離脱し、完治後も1軍昇格ならず。185センチ、92キロ。右投げ左打ち。推定年俸1500万円。