<広島6-8阪神>◇8日◇ハードオフ新潟

 コイが新潟の空に4発の花火を打ち上げた。ニック・スタビノア外野手(30)の3打席連続アーチに、堂林翔太内野手(20)が2号ソロ。広島打線が1試合4本塁打するのは、10年7月に5本塁打して以来。投手陣が8失点と乱れて勝ち星を逃したが、打線は上向き。これからはバットで投手陣を援護する。

 20歳の若武者が、新潟でも存在感を見せつけた。ニックが先制ソロを放った2回、2死から打席に入った堂林は阪神久保のストレートをフルスイング。打球は左翼席へ飛び込む2号ソロだ。

 「しっかり自分のスイングができた。良い手応えだった」

 堂林にとって、この日の舞台・ハードオフ新潟はただの地方球場ではない。中京大中京高3年の秋、新潟国体に出場した堂林は、この球場で高校最後のマウンドに上がっている。花巻東と対戦し、8回に決勝点となる2ランを浴び、最後の打席は菊池(現西武)に三振に打ち取られた。チームも初戦敗退した。「投手はこれが最後」と試合後に話している。投手としての自分に区切りをつけた試合でもあった。

 堂林

 (投手ではなく野手で勝負したいという話は)ずっとしていました。投手としてはスカウトの方も来ていなかったですし。

 プロで、広島のホットコーナーを守るまでになった今、思い出の球場でその成長した姿を見せつけた。

 一方、ニックはその実力を満天下に示した。統一球が飛ばないなんて言わせない。3打席連続アーチでそれを証明した。しかも、4回の2発目はいったん本塁打性の大飛球を打ち、ファウルと判定されて野村監督が猛抗議した後に打ち直したもの。実質“4連発”だといっていい。広島打者の3打席連続アーチは、98年6月30日、横浜戦(横浜)での江藤以来の快挙だ。

 ニック

 感触が良かったよ。(1試合3発は)経験はあるけど、大昔のことだから忘れちゃったよ。

 栗原が右肘の故障で離脱して打線の迫力不足が指摘される中、ニックがその代役を務めた。

 広島の1試合4本塁打は10年7月15日の横浜戦(横浜)で5本塁打して以来だが、勝ちには結びつかなかった。だが指揮官は「打線はいい兆しが見えた」と前を向いた。これまでは投手陣が支えてきたが、これからは打撃陣が投手陣をサポートする。【高垣誠】