<巨人4-6西武>◇8日◇東京ドーム

 背信。巨人沢村拓一投手(24)の現状だ。5回だ。先頭の西口にスライダーを安打にされる。続く片岡にもスライダーを二塁打に。犠飛で勝ち越され、さらに中島にスライダーを本塁打にされた。直球が制球できない。スライダーに頼るから、スライダーを狙われる。打たれるべくして打たれている。「勝つために全力を尽くそうとマウンドに上がりました。勝負どころで粘れませんでした」と反省の弁を残した。

 リーグ首位も2日で陥落した。5月の10連勝を止め、6月も2連敗。気が付けば先発4本柱で唯一、勝利数より負け数が多い。3戦で13点を失った。かつてない連続の背信。それでも、原監督は「本人が弱音を吐かない限り、しっかり、責任を持たせようと思っています」と、2軍降格には否定的だった。復活の糸口を、自身でつかんでほしいという親心をみせた。

 何より体調不安の解消が必要だ。普段の練習からせき込む姿が見られる。前回2日は試合中のベンチ裏で嘔吐(おうと)していたという。本人は体調不良を否定するが、この3週間の体調管理の失敗を非難されても仕方がない。万全な肉体でマウンドに立つのが先発の責任。接戦の多い今、先発投手の役割は極めて重要なのだから。【金子航】