ノルマは9勝3敗!

 阪神和田豊監督(49)が決死の大演説をぶった。まさかの5位転落から一夜明け、5日に松山市の坊っちゃんスタジアムで全体練習を行った。指揮官はその直前にスタッフ全員を集め、6分間の緊急スピーチ。借金6から球宴まで残り12試合での借金完済、そして奇跡の逆転優勝をナインに宣言した。

 優勝の2文字がかすんで見える。借金は「6」に膨らみ、5位に転落。最短で8日に自力優勝が消滅する。シーズンの半分で、この惨状を誰が予想したか。和田阪神は崖っぷちに立っている。雨が降り始めた松山で、指揮官はスタッフを外野の芝の上に集めた。コーチや選手だけでなく、トレーナーや用具係ら裏方も呼び、全員で大きな輪を作った。

 和田監督

 現状で目標の修正なんか一切考えていない!

 今年は大した補強もしていないけど、このメンバーで勝ちたい。このメンバーで勝負したい。みんなのことを信じているし、絶対に盛り返せると思っている。野球に対してもう1回熱くなって、今やったら、絶対に取り返せる。1週間後、2週間後、今にみていろよという気持ちで、その気持ちだけはとにかく持ち続けて、プレーしよう!

 6分間、決死の大演説だった。ナゴヤドームから始まった2週間の遠征は、1勝7敗と散々な結果だ。リリーフ陣の崩壊あり、エラーあり。負の連鎖が断ち切れない。就任以来、自らの言葉にこだわってきた指揮官が、異例とも言える公開の緊急ミーティングを行った。関係者によると、球宴までの借金完済も宣言したという。

 和田監督

 8月にこれぐらい借金があると、上が見えなくなる。オールスターまでに借金を返すつもりで、俺はいく。

 前半戦は残り12試合。今日6日の巨人戦を皮切りに、中日、ヤクルト、巨人の上位3球団が相手。借金完済のノルマは、9勝3敗。チーム状況を考えれば、厳しい数字ではある。それでも指揮官は、あえて宣言した。

 和田監督

 今は開き直っていく方が必要だと思う。その中で反骨精神というか、うまくいかなくても、今に見てろよという気持ちは忘れてほしくない。だから何回でも初心に帰るというところでね。それに対しては非常にいい舞台だと思う。明日からの戦いはそういうものを出しながらやっていきたい。

 この日も勝利を収めた首位巨人とのゲーム差は、10に開いた。それでも、宿敵との対決では、すべてをリセットできる。和田阪神は、東京ドームで背水の陣を敷く。【田口真一郎】

 ▼阪神は最短で8日に自力優勝の可能性が消滅する。今日6日からの首位巨人戦に●●●の場合、残り69試合に全勝しても最終勝率は7割2分1厘。●●△でも、同条件で最終勝率7割2分6厘。いずれも、巨人が阪神戦を除く全試合に勝った場合の勝率に及ばない。