楽天田中将大投手(23)が、世代の中心として立ち上がる。巨人坂本勇人内野手(23)、広島前田健太投手(24)とともに、1988年(昭63)に生まれた同い年の選手へ呼び掛け「88年会」を発足し、今オフから東日本大震災の復興支援活動を計画している。復興への道が続く中、球界の若きスター選手たちは、長期的な活動を目標として手を取り合う。

 88年会は、田中が坂本、前田健に呼び掛けたことから始まった。88年度に生まれた同世代で集まり、東日本大震災の復興支援を中心として活動しようというもの。坂本らの賛同を得て準備を進めている。計画では88年度に生まれたプロ野球選手の全員に声をかけ、同世代で協力していく。今オフに被災地で野球教室を行う予定もあるという。

 田中らの意図は、復興支援活動の継続にある。田中は「まだまだ、復興には向こう何年という時間がかかると思います。僕たちの活動も単年に終わらず、できる限り続けていけるような形にしたいと思っています」と話した。東北を本拠地とする田中は、かねて積極的に復興支援活動をしてきた。その中で感じたのが、継続の重要性だという。

 「昨年、何度か被災地に足を運ばせていただきましたが、わずか1年余りしかたっていないのに、すでに風化し始めているような気がします」。個々に活動するだけでなく、よきライバルであり、よき友でもある同世代の仲間たちと手を取り合えば、もっと活動の幅が広がる。そんな思いが、今回の計画につながった。

 田中の同世代には球界を代表するスター選手がそろっている。坂本、前田健をはじめ、巨人沢村や、高校時代に甲子園で田中と好勝負を演じた日本ハム斎藤もいる。さらには中日堂上直、ヤクルト増渕、ロッテ大嶺、前日8日にプロ初勝利を挙げたばかりの西武大石も同い年だ。今年24歳を迎える彼らが団結すれば、球界のみならず社会全体に与える影響も大きい。

 坂本も活動には積極的で「高校時代を過ごした東北の復興に、自分たちができることを探しながら長い時間をかけて貢献できればと思います」と語った。また、前田健も「今年が復興元年ということで、何かできないかと。田中が宮城にいるので、何かしらためになることができたらと思います」と、前向きに話している。グラウンドのみならず、彼らの活動に注目したい。

 ◆これまでの「○年会」は生まれた昭和の年度を呼称にしていたが、88年会は西暦を採用した。早生まれの選手は平成生まれになるため。また8は末広がりで縁起がよく、横にすれば無限大と読めるため、活動の可能性を無限大にという思いも込めているという。ゴールデンエージが集う「88年会」は、呼び名も新しいものになる。