<DeNA2-9巨人>◇4日◇横浜

 DeNA山口俊投手(25)は、強い決意で初球を投げた。7点ビハインドの9回。先頭坂本への初球は内角へのツーシームを選んだ。「びびって投げたら打たれる。(内角の)サインが出なかったら、首振ってでもいこうと思っていた」。必死に強く腕を振った147キロで、バットを折って遊飛に抑えた。2日の広島戦で、会沢の顔面へ死球を投じ、危険球退場となった。それ以来のマウンド。頭部への死球は、当てられた打者は当然のこと、投手にも大きなダメージを残す。トラウマとなり内角に投げられなくなる可能性もある。そうなれば致命傷だ。

 死球後、首脳陣は会沢の状態を案ずると同時に、山口の精神的ケアにも努めた。当日の夜、中畑監督は山口に直接電話をかけ、鼻骨骨折という診断を伝えた。「少しでも早く状況が分かれば、精神的にも違うと思ったから」。友利投手コーチは現実を受け止めるよう諭した。「起きてしまったことを受け止めないといけない。(山口には)これからも同じポジションで使っていくと伝えた」。

 この日、山口が投じた15球のうち内角球は5球あった。山口は「大丈夫というところを少しは見せられたかなと思う」。いつものようにチームの勝敗を左右する場面ではなかった。だが、山口にとっては大きな意味のある登板だった。1失点と課題を残したが、守護神として1つの壁を乗り越えた。【佐竹実】

 ◆山口の危険球退場

 2日広島戦(横浜)の9回1死一、二塁から、代打会沢への6球目148キロツーシームがヘルメットをかすり顔面付近に直撃。危険球退場となった。救急車がグラウンドに直接乗り入れ、一時球場は騒然。山口は「一番危ないところに当ててしまって本当に申し訳ないです。回復を願うだけです」と謝罪した。