<広島2-3DeNA>◇21日◇マツダスタジアム

 まさか…。ベンチでうなだれた。広島前田健太投手(24)が2本塁打を浴び、連敗ストップに失敗した。2回にDeNA後藤武敏内野手(32)にソロを許し、2-2の8回には筒香嘉智内野手(20)に決勝弾を浴びた。今季ここまで被本塁打2本だったエースが、1試合で2被弾。自身は3連敗で6敗目。チームの連敗は4。4位ヤクルトには1ゲーム差に迫られた。

 マウンドを降りても、感情が収まらなかった。前田健はタオルを頭からかけ、じっとうつむいていた。大野投手チーフコーチに肩をたたかれ、粘投をねぎらわれても、顔を上げられなかった。次のイニングが始まっても、現実に目を当てられなかった。

 2-2の8回、この日2度目のミスを犯した。1死走者なし、筒香へのフルカウントからのスライダーは、ど真ん中に行ってしまった。フルスイングされた打球は、広島ファンで埋め尽くされた右中間スタンドに消えていった。

 「3-2だったんで。勝負した結果。1発で決まってしまったので、悔しいというか、慎重に行けば良かった」

 1回にミスから失点を許すと、2回にも先頭後藤に初球スライダーを左中間スタンドに運ばれ、勝ち越しを許していた。ここまで今季2被本塁打だったエースが、1試合2本塁打を浴びた。しかもノーヒットノーランを達成するなど4戦4勝で防御率0・29と、完全に抑え込んでいたDeNA打線に対してだ。

 「自分の中でも100%勝たないといけない試合だと思っていたし、チームとしても勝ちたかった。本当に申し訳ないし、責任がある」

 7回は無死二、三塁の絶体絶命のピンチを切り抜け、一気に流れを引き込んだが「勝ちきれないと、あの回の価値もなくなる」と淡々と振り返った。8回7安打3失点で6敗目。8月7日中日戦(浜松)から3連敗となった。

 野村監督も「試合数が少なくなった中で、非常に痛い」と語る敗戦で、チームは4連敗。4位ヤクルトには1ゲーム差に迫られた。残り38試合。日を追うごとに、1試合の重みが増してくる。【鎌田真一郎】