<日本ハム3-1ロッテ>◇27日◇札幌ドーム

 あまり喜怒哀楽をあらわにしない日本ハムの中継ぎエースが、お立ち台で感極まった。増井浩俊投手(28)が4戦連続となるリーグ最多48ホールドポイント(HP)をマークし、初のタイトルを確定させた。「使い続けてくれた監督のおかげ。今季は自分がシーズン前に予想していたものとは、大きく違うシーズンになっています」。そこまで言うと、感情の高ぶりに言葉を詰まらせた。ベンチで見守っていた栗山監督の目からは、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。

 “8回の男”は、冷静にピンチを切り抜けた。2安打を許して1死一、二塁のピンチを招いたが、ロッテの4番ホワイトセルを左飛、続く角中を153キロの速球で中飛に仕留めた。狙っていたホールド王のタイトルを手中にし、9回は武田久へバトンタッチ。守護神が貫禄の3者凡退で、球団新記録となる月間10セーブ、2年連続の30セーブ目を挙げてゲームを締めた。

 今季、救援陣はフル稼働だ。昨年までダルビッシュ(現レンジャーズ)登板日のブルペンでは、せいぜい抑えの武田久が肩をつくるぐらい。中継ぎ陣にとっては、つかの間の休息が約束されたようなものだった。今季はダルビッシュの10完投分が消え、登板数が増えるのは必然だった。優勝争いが佳境を迎えて僅差の試合が続くほど、息をつく暇なく出番がやってくる。

 登板数トップの増井は7試合連続登板中。武田久は4試合連続登板中だ。吉井投手コーチは「うちの子らはよく頑張っている。これからは不思議なアドレナリンと力の差が出てくる」と、今日28日からの西武との首位決戦を見据える。歓喜のゴールまであと少し。2人のリリーバーの底力が試される。【中島宙恵】