<セCSファイナルステージ:巨人1-3中日>◇第1戦◇17日◇東京ドーム

 巨人が競り負けた。巨人は1回裏に1番長野が四球で出塁も、2番藤村がバント失敗で好機を逸した。3回2死二塁で好調の大島を迎えた場面では、外野が前進守備を取らずに適時打を浴び先制点を許した。接戦の中では、どちらも大きな意味を持ってしまった。強力打線も、4番阿部が無安打など不発に終わった。リーグ優勝のアドバンテージを含めて1勝1敗のタイ。この1敗が今後どう響くか?

 敗れても、短期決戦は血わき肉躍る。原辰徳監督(54)は、およそ敗軍の将らしからぬ、すがすがしい顔で会見場に現れた。「1戦終わって、少し肩の力抜いて戦えるでしょう。ドラゴンズとは、こういうゲーム展開。1本出るか出ないか。今日は向こうが上回ったということ」と朗らかに話した。そのトーンには、暗さや、負け惜しみはみじんもない。待ちに待った戦いの始まりを、歓迎する原監督がいた。

 敗戦には要因がある。1点を争う接戦になるのは分かっていた。それだけに、ミスが勝敗を分けた。

 1回。いきなりミスが出た。1番長野の四球で無死一塁。ベンチは、シーズン同様に犠打のサインを出す。初球。藤村は外角を見逃してストライク。2球目。インハイの難しいボール球をバントして打ち上げた。走者を送れず1死一塁。藤村は、2番打者の役割を果たせなかった。最悪の結果だったが、原監督は「まあまあ、それもカバーしていかないと。みんなでね」とドッシリ構えた。むしろ、次打者・坂本が安打を放ったことを「それでもつなげたでしょ?」と、評価した。

 「1点にこだわる」と話す割には、簡単に先制点を献上した。3回2死二塁。大島の適時打の場面。もしも、外野手が前進していれば、二塁走者の本塁生還は難しかった。このケースも、原監督は結果論と一蹴。「あの時は、チャージはしなかった。あの時はバッターという感じだね」と、大島との真っ向勝負を選択したと話す。

 1勝1敗でアドバンテージは消えても、どこまでも潔い。「まあ、1点ではいけませんね。もう少し、攻撃的にね」とも言う。9月21日のリーグ優勝決定から26日。調整期間から打ち勝つ野球、全開モードへ-。原監督はスイッチ・オンを宣言した。【金子航】