こんな男を待っていた!

 ツインズFAの西岡剛内野手(28)が9日、大阪市内で阪神と初交渉した。背番号7を提示され、二塁の守備位置を確約されたが「こだわりはない」「レギュラー確約の条件はいらない」と、おとこ気あふれる発言を連発した。明言こそしなかったが、阪神入りは決定的。ああ、入団発表が待ち遠しい。

 視界180度を報道陣が埋め尽くす。フラッシュ攻撃を浴びながら、西岡は時折、柔らかな笑みを浮かべた。虎との初交渉は約1時間で終了。「向こう(米国)で自由契約になって、一番早くお話をもらった球団というのは確か。熱意というか、非常に感謝しています」。濃紺ストライプスーツの背筋がピンと伸びた。

 西岡

 どういう風に強くしていくかとか、どういう意味で西岡剛という人間を必要としているのかというところだけを重視している。「素晴らしい甲子園というステージでファンも含め、いい場所で待っている。打倒巨人に向けて必要になる」と言われた。必要とされていると感じました。

 すでに古巣ロッテ、オリックスとの交渉を終了。大トリの虎は早くから獲得調査を行い、絶対優位の状況だ。他球団を上回る2年6億円を用意したとみられ、二塁の定位置も準備。中村GMは直接、現在俊介が付ける背番号7の譲渡も伝えた。まさに最高級待遇。ここで元メジャーリーガーのおとこ気&覚悟が示された。

 西岡

 日本で背番号7をつけ、向こうでは1番とか1ケタを付けたけど、こだわりはあまりない。他球団と一緒で、レギュラー確約という条件はいらないとも言った。いい選手がいてると思うし、悪ければ使わずに。そういうのはどんどんやってほしい。勝負の世界ですから。僕自身の野球人生が終わるのが早くなってしまうと思うので、そういう条件はもらいたくない。

 FA権について熟考中の鳥谷、平野が残留すれば、成長著しい上本らと激しい二遊間争いに入る。それは本望だ。大阪生まれ、大阪桐蔭卒。幼少期は当然、甲子園で野球観戦。地元・関西は再起の舞台として、文句の付けようがない。

 西岡

 もともとセ・リーグで阪神と巨人…、阪神巨人戦が全国的にも注目されるのは小さい頃から分かっていた。すごいチームだなと感じますね。(甲子園は)敵チームだったので、何万人という観客のため息がうれしかった。選手は応援されて伸びることもあるし、非常に強いヤジも飛んでくると思う。また成長できる場所でもある。よく考えて決断したいと思います。

 3球団以外にも交渉した国内球団があることを明かし、交渉終了日となったこの日は「フラットな状態」と話すにとどめたが、虎入りは決定的な情勢。「阪神西岡」の誕生へ、いよいよカウントダウンが始まる。【佐井陽介】

 ◆西岡剛(にしおか・つよし)1984年(昭59)7月27日、大阪府生まれ。大阪桐蔭では3年夏に甲子園出場。02年ドラフト1巡目でロッテ入団。05年と10年の2度、日本一。10年は内野手、両打ちで初の200安打超え、プロ野球最多となるシーズン27度の猛打賞をマークし、最多安打、首位打者を獲得。同年オフにポスティングシステムでツインズに移籍。今年9月末に契約を1年残し自由契約となる。182センチ、80キロ。右投げ両打ち。