地元の声に応えます-。宮城・塩釜出身の楽天木村謙吾投手(20)が28日、仙台市内の球団事務所で契約交渉を行い、現状維持の年俸240万円で更改した。育成2年目の今季は、春キャンプで左肘を痛めた。7月には、靱帯(じんたい)の移植手術を受けた。既にネットスローを再開。勝負の3年目へ、動きだしている。この日は、木村を含め10選手が契約を更改した。(金額は推定)

 木村の耳には、あの時の音が残っている。今春キャンプで左肘を痛めたが「まだ、できる」と練習を続けた。悲劇は3月。教育リーグ中に「ブチッ」と鳴った。「切れてましたね」。7月に、右腕の靱帯を左肘に移植する手術を受けた。「受けさせてもらえることになったので。治して、また勝負できる」と迷いはなかった。

 数日前にネットスローを再開した。「順調ですね。(来年の)春キャンプには間に合うと思います」と表情は明るい。この日の契約更改でも、球団からは「来年、期待している」との言葉をもらった。手術にGOサインを出してくれた球団のためにも、結果で応えるつもりだ。

 応えたい人たちは他にもいる。塩釜で育ち、高校は仙台育英。チーム唯一の生粋の宮城っ子だ。今秋の神宮大会では、後輩たちが初優勝を飾った。「僕も頑張らなきゃ、という気持ちになりました」と、今度はプロでの活躍を後輩たちに示す。そして、何よりも地元ファンに応えたい。「みんなから応援されている。ダメになったら(地元ファンが)泣くと思う」と口元を引き締めた。

 幸い、手術後も左の握力は57キロのまま変わらなかった。「オフが大事。どうやったら、肘に負担がかからずに投げられるか」。故障を機に、新たな木村を見せる。【古川真弥】