日本ハム糸井嘉男外野手(31)が、天然キャラ全開で「珍銭闘」を展開した。札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1000万円増の年俸2億円(推定)を提示されたが保留。約2時間のロング交渉で抗戦したが、球団によれば糸井は沈黙の時間が大半だったもよう。納得できなかった理由が明確ではなく、次回交渉でも双方が迷走する可能性が浮上。先行き不透明のまま持ち越しとなった。

 絶句と恐縮を連発した。糸井が、意気消沈して記者会見場に姿を現してプロ入り初の保留を表明。報道陣との質疑応答では「う~ん、う~ん…」と、うなり続けた。球団から示されたのは1000万円増の大台2億円。希望額と開きがありサインを見送ったが、言い分は支離滅裂だった。「生意気ですけれど、保留させてもらいました」。「アップの評価で、すごく評価してもらえた」。

 交渉役の島田球団代表が「非常にかわいかったですよ」と明かした、約2時間の交渉の過程がミステリアスだった。糸井が保留する姿勢を示し、球団側が了承したことが数度。その都度、糸井は「イメージが悪いですよね」などと言い、踏みとどまったという。島田代表は「好きなことを言って」と何度も主張を求めた。だが糸井は何も伝えることなく、沈黙の時間が流れるだけだったそうだ。

 単純に希望額との隔たりが理由。糸井は「ちょっとガッカリした。少し納得できない部分がありました」と、交渉の一端を明かした。ただ具体的に増額を求めるアピール材料を訴えないため、球団側は説得を図ろうにも、八方ふさがりの状態に陥ってしまった。

 対照的に、島田代表らは昨季より総合的に個人成績が下降したことが、微増提示の根拠と理路整然と通達した。ただそのたびに貝になってしまう糸井に、再三の理解を求めたが響かず。交渉途中で球団も歩み寄り、出来高条件を新たに加える提案もしたが、この日は時間切れでフィニッシュした。次回交渉は優勝旅行明けの17日以降を予定。糸井が希望額も伝えないままの「珍銭闘」で物別れし、決着の行方は見えないままだった。【高山通史】