人口約1万3000人の北海道・栗山町が、1人の男によってお祭り騒ぎとなった。日本ハム栗山英樹監督(51)が22日、生活の拠点である同町で、単独での優勝パレードを行い、ファン約8000人が駆けつけた。かつてないほどの盛り上がりに、椿原紀昭町長(66)は12月22日を記念日「ヒデキの日」として制定する仰天プランを披露。栗山監督は次回の優勝以降、北海道にある179市町村すべてに選手を派遣し、各地でパレードを行うことを約束した。

 就任1年目でパ・リーグを制した栗山監督が“普段着”姿で沿道に手を振った。上下ジャージーに、足元はゴム長靴。札幌中心部での優勝パレードでは高級外国車ボルボに乗り込んだが、この日は10年前に10万円で購入したという愛車?

 の軽トラックだ。「13年前にこの町に来て、こんな日が来るとは思ってもみなかった。感激しました。今日は…、泣いた」。10万人を集めた札幌でのパレードとはひと味違う喜びに、何度も涙がこみ上げた。

 待望していた風景だった。気温マイナス2度。真っ白い息を吐きながら空を見上げると、粉雪と紙吹雪が舞っていた。人口約1万3000人の小さな町に、集まったファンは8000人。「生活の中の非日常というか、あらためて頑張らなきゃと思った。みんなの思いは伝わりました。お礼を言われたけど、お礼を言うのはこっちの方」。パレード後は、5時間かけて全員と写真撮影会を行った。

 町への貢献も大きい。バス乗り場や駅のホームには、長蛇の列ができた。「こんなに人がいるのは初めて」(栗山駅員)という駅舎内も混雑となり、近隣の喫茶店、露店は忙しさでうれしい悲鳴を上げた。椿原町長は「ありがたいことです。記念日というのもいいですね。(議会で)議題にあがるでしょう」と、12月22日を「ヒデキの日」として制定する考えを披露。国民の休日ではないものの、栗山町民にとっては特別な1日になりそうだ。

 将来的には、この盛り上がりを北海道全域に広める。栗山監督は「179すべての市町村で(選手が)分散してパレードをする。こぢんまりとしたものでいい。ファイターズが北海道にいる意味は、そういうところにもある」と語気を強める。稲葉が、中田が、そして大谷が…。次回優勝から、おらが町にV戦士がやってくるという夢プラン。栗山監督の夢が実現し、ファンの夢が広がった、格別の「手作りパレード」だった。【本間翼】