日本ハムのドラフト1位大谷翔平投手(18=花巻東)が28日、故郷の岩手県奥州市役所を表敬訪問。日本時間のこの日、現役引退を表明した松井秀喜外野手(38)について「僕らの世代にとっては雲の上の存在で残念な気持ちはありますが、自分も松井選手のような選手になれるように頑張りたい」と話した。新世代を担う大物高校生が、日米で活躍した偉大な左打者の魂をしっかりと受け継ぐ。

 幼い頃から憧れ続けた偉大な打者の後継者に、堂々と名乗りを上げた。日本ハムのドラフト1位大谷が、神妙な顔で口を開いた。「小さい頃から、ずっと見ていた選手です。巨人戦もテレビ中継でよく見ていました。雲の上の存在で、僕が話すのも恐れ多いほど、すごいバッター。打撃フォームもまねしていました」。この日、故郷の岩手県奥州市役所を表敬訪問した、わずか3時間前。海の向こうで引退会見を開いた松井の決断を、心底残念がった。

 同じ右投げ左打ち。「本塁打も打てるし、長打も打てる。軸足で打つ打者」。まねているうちに、いつしか「フォームが似ている」と言われるようにもなった。技術を参考にするだけでなく、1度はメジャー挑戦を決めた大谷にとって、長距離砲として日本人で初めてメジャーで成功した松井の存在は、憧れであり目標でもある。「安定した構えで、振りもすごく早い。日本人であれだけ長打が打ててMVPを取った選手はいない。憧れますし、励みになっています」。日本人でも、世界を相手に戦えるんだ-。メジャー挑戦を最終目標に掲げる18歳にとっては、とてつもなく大きな存在だった。

 小沢昌記市長(54)から「子どもたちの目標になって欲しい」と激励を受け、背番号11にちなみ地元名産の奥州牛11キロをゲット。来年1月上旬に予定されている入寮までに「食べきれないかも」と笑顔を見せ「1月11日の新人合同自主トレへ向けて頑張りたい」と、正月返上でトレーニングに励む決意をさらに強くした。「(松井の引退は)残念な気持ちですが、自分も松井選手のような存在になれるよう頑張りたい」。かつて、自分が憧れ、目指したプロ野球選手の姿を追い、今度は自分が夢を与える存在をなってみせる。【中島宙恵】