侍ジャパンに大会3連覇への吉兆だ。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表を率いる山本浩二監督(66)が4日、都内の神社で初詣を行った。おみくじをひくと、現役時代の背番号と同じ「8番」で「大吉」という超強運ぶりを発揮。データにとらわれず、選手個々の感性を重視した戦略で世界一を狙う構想も披露。ハイテンションで、WBCイヤーの幕を開けた。

 侍ジャパンの総大将が新年早々、野望成就を確信した。都内の自宅にほど近い、世田谷区の「桜神宮」に初詣。山本監督が真っ赤なネクタイを締めて神妙な表情でひいた、おみくじで小さなミラクルを起こした。「大吉」で、しかも「ミスター赤ヘル」で鳴らした広島時代の背番号、そして末広がりの「8番」。子供のように無邪気に、はしゃいだ。「8番の大吉って、うれしいな。気持ちもノッていくと思うわ」と高笑いした。

 縁起良い1年のスタートを切った剛腕で決意をしたためた。絵馬に「皆でアメリカへ!」と書き込んだ。米国での準決勝、決勝に進むためには日本で第1、第2ラウンドを突破しなくてはならない。同じキーワードで代表候補34人へ年賀状を送ったが、初日の出は自宅のベランダから見るいつもの正月。WBCイヤーの初夢は「見ても覚えていない」そうだが、間近に迫るリアルな大役に頭がいっぱい。「年が明けると、いろいろなことを考えるよね」と特別な気持ちで新年を迎えた。

 神懸かり的パワーを発揮した自身になぞらえるような構想を明かした。対戦相手のデータが続々と収集できているが、“浩二流”戦闘スタイルの実践を決めた。「(試合の)2、3日前になったらしっかりやるけれど、あまりミーティングはやらん。状況を見て自分で対応しないといかん」。チームスポーツだが、局面では投手と打者など1対1の「個」の戦いが持論。「自分で対応しないと」と選手に求め、活路を開くプランを練っている。

 その極意は、現役時代に築いた哲学にある。自身は相手投手の球種、バッテリーの配球の傾向などを自己分析し、第一線を走り続けた。短期決戦の国際大会だが「ある程度データは必要やけど(相手選手の)性格、球場、風とかもあるやろ」。自信を持って選んだ精鋭の五感に託し、タクトをふるうことを宣言した。超強運を見せ「神にお願いしてしまうわ」とおどけたが、青写真はある。3連覇への道を現実的に描き、山本監督、そして侍ジャパンの大勝負が始まる。【高山通史】

 ◆桜神宮

 1883年(明16)に東京・神田に創建され、1919年(大8)に現在の世田谷区へ移転。「西の方角へ直ちに移転せよ」の神託によって関東大震災の被害、第2次世界大戦時も戦災から免れたため「災難除け」で知られる。神宝は西郷隆盛、大久保利通らの書。最寄り駅は東急田園都市線・桜新町駅。