巨人のスカウト会議が9日、都内の球団事務所で行われ、150人の中から上位候補25人を絞り出した。今季の補強ポイントは左投手と捕手で、現段階での1位候補として桐光学園(神奈川)・松井裕樹投手(2年)、大阪桐蔭・森友哉捕手(2年)らの名前が挙がった。現役引退した松井秀喜氏以来の巨人松井が実現するのか、1995年(平7)の原俊介捕手(東海大相模)以来となる高卒捕手の指名となるのか。秋のドラフトまで目が離せない。

 今の巨人にはこの姓がなぜか重要になる。今年初めてのスカウト会議でも、中心になったのは「松井」だった。山下哲治スカウト部長は、松井の評価について「去年の評価ならバリバリの1位候補。技術的にはかなり高い。スタミナとかの課題はあるけど。去年の投球を見せてくれれば、現段階では大学、社会人を含めても高い評価」とした。さらに、25人の中でも最上位かという問いかけに対し「候補には挙がってくるんじゃないか」と、遠回しながら認めた。

 巨人松井という響きには、ファンも心を揺さぶられるだろうが、1位候補は他にもいる。昨年の菅野のように固めてはいない。今後のチームバランスを考えているからで、捕手を補強の重要ポイントの1つとして挙げたのもそのためだ。「当然、阿部を抜く捕手というのはまずいない。でも何年後かに後釜というか、そういう捕手を必要としてるのは間違いない」と将来的に訪れる世代交代の時期を見据え、森をリストアップした。

 現段階では巨人の1位候補は松井か森ということになる。2人の評価について山下スカウト部長は「松井の技術的なものは即戦力に近いんじゃないか。ローテに入るとかではないけども、1軍に上がる力はある」とし、森については「高校生ナンバーワン捕手。バッティングは素晴らしいものを持っている」と、阿部の後を継ぐ、打てる捕手としての資質を絶賛した。

 補強の最重要ポイントは左投手と捕手としながらも、大卒即戦力の九州共立大・大瀬良大地投手と慶大・白村明弘投手、2人の右腕の名前も挙げて高評価した。また、高橋由、谷、小笠原ら、高齢になった野手の後釜候補の必要性も口にし「偏った補強はしたくない。ウチのポジションの弱いところを埋めていく」と話したことから、松井と森に次ぐ指名の候補は、即戦力投手か将来性ある野手になりそうだ。

 「今、リストアップしている選手がどれだけ伸びるか。しっかりチェックして一番いい選手を取ろうと思う。1位候補が何人かいるのは間違いない。必要とするポジションを優先するか、力を優先するかだ」と、山下スカウト部長。秋のドラフトまで、巨人は2人の高校生の成長を中心に見ていくことになる。【竹内智信】

 ◆松井裕樹(まつい・ゆうき)1995年(平7)10月30日生まれ、横浜市出身。小学2年から元石川サンダーボルトで野球を始める。中3時には青葉緑東リトルシニアで全日本選手権優勝。桐光学園では1年秋からエース。2年夏の甲子園で1試合最多記録の22奪三振。1大会68奪三振は歴代3位、左腕1位。174センチ、74キロ。左投げ左打ち。

 ◆森友哉(もり・ともや)1995年(平7)8月8日、大阪府生まれ。5歳から庭代台ビクトリーで野球を始める。中学では堺ビッグボーイズ所属。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入りし、2年春夏には藤浪とバッテリーを組み甲子園連覇。高校日本代表でも正捕手を務めた。高校通算23本塁打。50メートル走6秒2。遠投100メートル。170センチ、80キロ。右投げ左打ち。