巨人原辰徳監督(54)が、新外国人のハートをわしづかみにした。29日、ジャイアンツ球場でホセ・ロペス内野手(29=ホワイトソックス)とマニー・アコスタ投手(31=メッツ)の会見に同席。ギャグを連発して場を盛り上げた。会見の前には起用法をじっくり説明。その心づくしに2人の助っ人も感激し、獅子奮迅の働きを誓った。

 原監督の強烈な求心力が発揮された。今季の意気込みを聞かれた時だった。左のロペスが「3割、15本は打ちたい」と言うと、真ん中に座っていたアコスタは「100%の力を出して、ファンにいい試合を見せたい」と続けた。これで終わりかと思いきや、右にいた原監督が「3割、20本打ちたい」と、まるで新助っ人のように目を見開きながら声を発した。その瞬間、2人の助っ人も大笑い。会見の雰囲気が、一気になごやかになった。

 原監督の笑劇場はなおも続いた。カメラマンから2人の選手との“グータッチ”を求められると「同時には無理だ。オレには腕が4本ない」と即座に返し、笑いをとった。静かに始まった新外国人のお披露目記者会見だったが、最後は原監督の独壇場だった。

 ただ単に笑わせただけではない。会見の前には起用法をじっくり説明した。ロペスにはクリーンアップと一塁手、アコスタにはクローザーかセットアッパーを求めた。その中で、ロペスに対し「一塁を守るお前さんが、内野の他のポジションを全部できるというのは、チームにとってすごく大きなことなんだ」と、危機管理や競争意識の高まりにも効果が期待できることを説明した。ロペスはこれに感激した。

 ロペス

 WBCの監督として原さんのことは知っていたけど、記者会見前にわざわざ時間をとって話をしてくれたことに心を打たれた。素晴らしい方だと思った。

 ロペスは内野手の全ポジション用のグラブ4種類を持っているが、もしも監督に求められた時のため、外野手用のグラブを発注することを決めた。ロペスに劣らずアコスタも原監督への思いを強くした。

 アコスタ

 WBC優勝監督としてテレビでも見ていた。隣に座っているのが信じられないし、うれしく思う。この監督のために力を尽くさないといけない。シーズンが終わった時に抱き合えるようにしたい。

 明日31日には宮崎へ移動し、2月1日からのキャンプに備える。チームメートとの結束を固くする前に、原監督との間には、強い絆ができた。【竹内智信】

 ◆ホセ・ロペス

 1983年11月24日、ベネズエラ、アンソアテギ州バルセロナ生まれ。ヘスス・ラファエル・アルボノス高を卒業後、00年にマリナーズ入団。04年7月31日にメジャー初昇格しデビュー。06年にはロビンソン・カノの代役でオールスターにも出場した。09年WBCでは4割1分7厘、2本塁打を記録し優秀選手に選ばれた。183センチ、93キロ。右投げ右打ち。

 ◆マニー・アコスタ

 1981年5月1日、パナマ・コロン生まれ。ハコバ・ウリオラ・ソリス高から16歳の時にヤンキースへ入団した。メジャー初昇格はブレーブス時代の07年8月。以後、メジャー6年間で233試合に登板。13勝13敗9セーブ。防御率3・99の成績を残した。パナマ代表として06年、09年のWBCに出場しているが、今回は予選で敗れた。193センチ、98キロ。右投げ右打ち。