「テスト生」は7色の変化球で勝負!?

 阪神が入団テストを行うマット・デサルボ投手(32=台湾ラミーゴ)が3日、チームに合流した。金武(きん)町球場でキャッチボールを実施。軽めの調整だったが、揺れるナックルフォークなどを披露した。今日4日には宜野座でブルペン投球を行い、テストも本格化。先発候補としてお手並み拝見だ。

 ちょっとだけよ…。先発の新助っ人候補として期待されるデサルボが、力量をチラッと見せた。閑散とした金武町球場。選手がいないフィールドで白球を投げ始めた。水落打撃投手を相手に少しずつ後ろに下がり、約70メートルの遠投を実施。その後、マウンドから本塁までの18・44メートルに見立てた距離で力強い球を投げ込んだ。直球、スライダー…。持ち球を惜しみなく投げ、感覚を確かめた。

 その瞬間だ。不規則に揺れて沈み、立ったまま捕球していた水落打撃投手もあわてて捕る。思わず「ナックルフォークや…」とつぶやいた。金武で練習するベテラン組も球場に到着したばかりで、目撃者はほとんどいない。矢継ぎ早に変化球を投げ込み、アッという間に練習終了。前日2日深夜に沖縄の宿舎入りした助っ人候補は、丁寧にセールスポイントを説明した。

 デサルボ

 新しい球だから、どういう感覚で指が離れるかを確かめたんだ。自分はいろんな球種を持っていて、打者にどういう攻めをするか自分で組む方なんだ。いろんな球種を使いながら勝負するタイプだよ。

 コンパクトな動作で右腕を真上から振り下ろす投球フォームだ。チェンジアップ、フォーク、カットボール、スライダー、ツーシームを駆使。剛腕タイプではなく、変化球で打たせながら抑えるスタイルだ。水落打撃投手も「動かす球が好きなんでしょう。真っすぐは回転がキレイ。サークルチェンジアップは斜めに落ちる。フォークは揺れるから、めっちゃ捕りにくい」と話した。07年にヤンキースでメジャーデビューし、当時、同僚だった井川(現オリックス)はライバル。昨季、台湾リーグで活躍した右腕が片りんを見せた。

 だが、合格までの道のりは険しい。中村GMは「スタンリッジと同等以上の力がないととれない」と話す。昨秋に右肘を痛めたが、デサルボは「少し炎症があって痛みが出ただけ。まったく問題ない」と軽症を強調。12月下旬にプエルトリコで実戦登板を重ね、照準を合わせてきた。今日4日にブルペン入りし、6日にはシート打撃で投げる。周囲をアッと驚かせることができるか。実力に乞うご期待だ。【酒井俊作】

 ◆マット・デサルボ

 1980年9月11日、米ペンシルベニア州生まれ。ユニオン高校、マリエッタ大学を経て、03年にヤンキース入団。07年にメジャー初登板、マリナーズ戦で初勝利を記録。12年は台湾リーグのラミーゴに所属し、28試合22先発で11勝6敗、防御率2.77。180センチ、90キロ、右投げ右打ち。